偉大なるシンガーの魂に触れる映画
『Ray/レイ』(2004年度作品)
貧しい一家に生まれたレイ(ジェイミー・フォックス)は、7歳で視力を失いますが、音に希望を見出したレイは、17歳で一人シアトルへ。ピアノと天才と呼ばれるけれど、成功とともに麻薬を手放せなくなっていく。
レイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスは『Ray/レイ』で見せた圧巻の演技で、アカデミー賞主演男優賞を受賞。まるでレイ・チャールズの魂がジェイミーに降りてきて演技をさせていたように見えるほどです。レイは素晴らしいミュージシャンですが、トラブルも多く、素晴らしい人間とは言えなかったかもしれない。けれど逆にそれが彼の人間臭い魅力となっています。
また麻薬に溺れて家族を悲しませたりするけれど、それでもやっぱり歌うと素晴らしいというところはスター! ダメな男と思うことがあっても、歌がすべてを浄化するというレイ・チャールズのカリスマ力を感じる映画です。
監督:テイラー・ハックフォード 出演:ジェイミー・フォックス、ケリー・ワシントン、クリフトン・パウエル、ハリー・レニックスほか
『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』(2007年度作品)
フランス・パリの貧しい家に生まれたエディット(マリオン・コティヤール)は、娼館での生活を経て、父親に引き取られ、大道芸人の父の横で歌う事に目覚めていく。やがて彼女は名門クラブのオーナーに気に入られ、歌手エディット・ピアフが誕生するのですが……。
マリオン・コティヤールは『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』でアカデミー主演女優賞を受賞。ピアフの若いときから亡くなるまで演じましたが、腰の曲がった老女の姿は「誰?」というほどの変貌を遂げていて驚きです。でも老女といっても見た目だけで、ピアフは47歳で亡くなっているのですよね。若くして老け込んでしまうほど苦労を重ねて来たとも言えるし、濃密な人生の経験が彼女の老いを早めたのかなとも……。
ピアフの歌唱シーンは本人の声を使っていますが、そうは見えないほどピアフの熱唱をマリオンの演技が支えています。シャンソンはなじみがないという人でもこの映画をきっかけに触れてみるのもあり。「愛の賛歌」「バラ色の人生」、名曲はいま聴いても心に響きますよ。
監督:オリヴィエ・ダアン 出演:マリオン・コティヤール、シルヴィー・テステュー、パスカル・グレゴリー、エマニュエル・セニエほか
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