世界遺産の小さなワイン村ラヴォー地区を歩く／スイス(2ページ目)

ハイキングで世界遺産の葡萄畑を体感

ローザンヌのオリンピックミュージアムから、ラヴォー地区の小さな可愛いワイン生産村を結びながらシヨン城まで続くのが、「ワイン街道」。全長33キロの散策道です。広大なレマン湖と、対岸フランス領アルプスの白い峰々を眺めながら、葡萄畑の中を歩いてみましょう。特に葡萄の木が黄金色に色づく秋がおすすめの時期です。




全部歩くとたっぷり9時間ほどかかるので、ローカル列車も利用しながらワイン街道の一部を歩くと良いでしょう。もしお気に入りのワインの銘柄があれば、ぜひその生産村も訪ねてみたいものです。

葡萄畑に点在する村の家々は、狭い場所に肩を寄せ合うように建てられています。これは貴重な土壌をできるだけ有効活用するため。毎年9月には、リュトリーやフェシーの村ではワイン祭りが開催されています。

世界遺産の葡萄畑でできたワインを試飲

スイスワインは生産量が限られているため、ほとんど国外に輸出されません。もともと希少価値のあるスイスワイン。せっかくラヴォー地区を訪れたからには、同じスイスワインでも世界遺産の葡萄畑でできたワインを試飲しない手はありません。

ワインの試飲には、個人の生産農家を直接訪ねて試飲する方法と、その村の生産農家が共同でワインを試飲しあうワイナリーを利用する方法があります。個人の生産農家は事前の連絡が必要な上、言葉（フランス語）の問題もあるため、ワイナリーの利用がはるかに便利です。最近は団体ツアーでも、ラヴォー地区でワインの試飲が組み込まれる企画が増えてきました。

ワイナリーは地元ではカヴォー Caveau と呼ばれています。ワインに加え、チーズやソーセージなども用意されています。ただし法律で温かい料理は出せないことになっています。ワイン街道のハイキングの後、カヴォーに立ち寄って夕食前に軽く一杯……そんな利用がおすすめです。

料金はボトル1本で25スイスフラン前後と、お手頃な値段。オープンは主に4月から10月の夕刻が中心ですが、カヴォーによっては曜日限定の場合もあるので、事前に現地のホームページなどで確認の上、計画を立てましょう。

ワイン愛好家なら訪れてみたい「ラヴォー・ヴィノラマ」

近年ラヴォー地区の中心にある小さな村、リヴァ Rivaz にオープンしたラヴォー・ヴィノラマは、ワイン愛好家のためのビジターセンターです。レマン湖畔でも葡萄栽培とワインづくりが、日本語を含む8か国の音声と映像で紹介されています。

260種類もの地元のワインを試すことができる試飲ルームもあります。数種類の試飲のメニューを用意しており、料金は2～3種類のワインの試飲とパンなどのおつまみが付いて一人13～22スイスフランです。

＜DATA＞
■ラヴォー・ヴィノラマ　Lavaux Vinorama
住所：Route du Lac 2, CH-1071 Rivaz
TEL：021-946 31 31
開館日と時間：
（2月～5月、11～12月）水～土の10:30～20:30　日の10:30～19:00
（6月～10月）　月～土の10:30～20:30　日の10:30～19:00

ラヴォー地区へのアクセスと宿泊

ラヴォー地区への玄関口はジュネーブが便利です。ジュネーブからスイス国鉄を利用。ローザンヌまたはヴヴェイでローカル列車に乗り換えれば、ラヴォー地区に簡単に入ることができます。スイス国鉄の都市間急行を利用すれば、ジュネーブからローザンヌまで40分、ヴヴェイまで約１時間です。ツェルマットまたはユングフラウ地方から入る場合は、モントルーを拠点にしても良いでしょう。

葡萄畑の中は様々な建築規制もあり、ホテルはほとんどありません。宿泊はローザンヌ、ヴヴェイ、モントルーなど、レマン湖畔の町がおすすめです。これらの町の周辺には、ラヴォー地区をはじめ、スイス随一の名城シヨン城、チーズで有名なグリュイエールの村、ミネラルウォーターで有名な対岸のリゾート、エヴィアンなど足を伸ばしてみたい場所がたくさんあります。