舞台設定が変わっても作戦を変えなかった日本陣営
ロンシャン競馬場は、凱旋門賞の前になると、コースの内側の芝を保護するための仮柵が外される。そのため、凱旋門賞では内側ほどコンディションの良い芝を走ることができる。従って、凱旋門賞で勝つためには、レース終盤まではできるだけ内側で我慢し、体力のロスを最小限に抑え、最後の直線で瞬発力を爆発させることが絶対条件となる。
その上で、さらに他馬より有利になるよう、レース中に巧妙な駆け引きを仕掛けなければならない。
小差が大差を生む
トップレベルの馬と騎手が競うため、レース中のほんの僅かな位置取りの差や、駆け引きにおいてほんの一瞬後手を踏んだだけで、ゴール前は大差が付いてしまうのが凱旋門賞というレースだ。日本人はとかく「自分の力を全て出し切ることが大切」という考え方をしがちだが、フランス競馬に挑戦する以上、その考え方は命取りだ。
なぜなら、フランス競馬では自分の力を出し切ることだけでなく、「敵に力を発揮させないこと」が求められるからだ。