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「退屈な運用」を標傍する日本株ファンドは買い?

さまざまな切り口で運用されている投資信託ですが、あえてネガティブイメージを彷彿させる「退屈な」「つまらない」を標傍する日本株ファンドがあります。2013年9月26日に運用を開始して1年が経過したことから、ファンドの説明会が開催され参加してきましたのでご紹介しましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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サプライズより「確実」を取る

「Boring」、直訳すると「うんざりするような」、あるいは「退屈」「つまらない」などと訳されるようですが、このややネガティブなイメージを標傍する日本株ファンドが運用開始後1年経過しました。フィデリティ投信が運用する「フィデリティ・日本変革ファンド」です。

同ファンドは、わが国の金融商品取引所に上場(これに準じるものを含む)されている中小型株式を主要投資対象としています。中小型株式の中から、市場平均等に比較して成長力があり、その持続が長期的に可能と判断される企業を選定し、利益等の成長性と比較して妥当と思われる株価水準で投資は行われます。

個別企業分析にあたっては、日本および世界の主要拠点のアナリストによる企業調査結果を活かし、ポートフォリオ・マネージャーによる「ボトム・アップ・アプローチ」を重視した運用を行うと投信方針には記載されています。

投資方針を読むと際立った特徴がある日本株ファンドには見えませんが、銘柄選択には際立ったこだわりがあります。株式市場は株価が上がるにしろ、下がるにしろ「サプライズ」が期待されますが、同ファンドは当たり前すぎてサプライズの度合いが小さいが、業績は確実な銘柄を厳選して投資されるのです。

運用スタイルはバリュー投資

銘柄の選択基準は、市場で見落とされている割安で投資価値の高い銘柄。たとえば、ビジネスモデルや収益構造が市場に理解されていない、企業に起きている変化が株価に織り込まれていない、ディスクローズ(IR)の姿勢や株式の流動性を理由に投資家から敬遠されている銘柄があたります。

あるいは、プライシング・システムが確立されている企業。たとえば、価格競争に巻き込まれにくい売値決定方式が採用されている。不毛な消耗戦に陥る懸念が小さく、数量効果を享受できる。差別化された技術力やブランド力を保有している銘柄があたります。

図は2014年8月末の組入上位10銘柄になりますが、言葉は悪いですがいずれも足元のトレンドに乗っていない銘柄が並んでいます。せいぜい、5位の竹内製作所は海外の売上げ比率が高いことから、円安効果の影響が高い株といえそうでが、他の銘柄は標傍している「Boring」銘柄と言えそうです。

足元のトレンドには乗っていない銘柄だが…

足元のトレンドには乗っていない銘柄だが…


Boring中心の銘柄なのですが、その運用成績はイメージに反して良好です。2014年8月末現在、過去3ヵ月=13.94%、過去6ヵ月=15.22%、設定来は=20.98%となっています。

同期間の参考指数であるRussell/NomuraMid-SmallCapインデックス(配当金込)は、3ヵ月=8.17%、6ヵ月=9.00%、設定来=12.01%と大幅にアウトパフォームしています。

同期間のTOPIX(配当金込)よりも2倍超の好成績をあげているのです。良好な運用成績でスタートしていますが、バイオ関連、ゲーム関連株などの新興市場のテーマ株が派手に上昇するような「祭り」が起こると、パフォーマンスの伸びは鈍化してしまうようです。

ただ、トレンドの圏外におかれている割安銘柄に投資されていることから、下値は抑えられている傾向がこれまでの運用で見られています(2011年4月から運用されている小型株パイロットファンド)。

Boringを標傍することからネガティブなイメージ付きまといますが、その実、派手さはないが良好な運用成績をあげているフィデリティ・日本変革株ファンド。イメージから想像できない好成績が継続するのか注目したいファンドと言えそうです。
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