公務員や大企業を目指すことは望ましいのか
「安定している公務員になろう」「大企業に勤めれば、そう簡単にはつぶれないから、安定しているだろう」
不況になると、公務員試験の受験者は増え、試験対策テキストも売れるそうです。大学生の就職人気ランキングでは、毎回同じ企業が上位にランクされ、ほとんどが大企業、もしくはメディアで話題になった企業です。公務員や大企業を目指すことが本当に望ましい姿なのでしょうか?
もちろん、純粋に「国を良くしたい」という使命感で目指すことは大変素晴らしいと思います。しかし、安定を求めて目指しているとしたら、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。
まず、考えることはみんな同じですから、不況期は公務員に希望者が殺到します。優秀な人も受験に来ますし、倍率も上昇するので、狭き門になりがちです。
もうひとつ、「不況だから安定している公務員」という守りの姿勢が問題です。安定を捨てろというわけではありませんし、安定を目指すことが悪いというわけでもありません。
しかし人間とは、安定を考えたとたんに守りに入ります。守りに入った人間は、新しいことにチャレンジしなくなります。チャレンジしない人間がどうなるか・・・
それに、本来、やりたい仕事を選び、それを安定化させる工夫や努力をすることで人は成長します。しかし、最初から安定ありきで職業を選ぶという時点で、自分がストレッチするチャンスを失うのです。
公務員を目指すなら、好景気のときです。そうすると、優秀な人はまず民間企業に流れていくので、そのタイミングで公務員を選べば、相対的に自分が優秀な人材になります。いわゆる「鶏口となるも牛後となるなかれ」戦略です。
正規雇用はそんなに魅力か?
正社員志向も同様です。以前は「起業がカッコいい」「ITベンチャーでIPOだ」という話題で持ちきりでしたが、それ以後、そうした話題は息を潜め、多くの人が正社員にすがろうとしています。起業を後押しして制度の整備を叫んでいた政治家さえもが、手のひらをころっと裏返して「正規雇用」の大合唱です。
正社員という雇用形態に安定を求めているのでしょう。しかし、そもそも安定を望んだ段階で大胆なチャレンジを恐れますから、そういう人材はますます不安定になります。
確かに派遣やアルバイトよりはクビを切られにくい側面はありますが、JALの破綻やソニーの大リストラの例を見れば、それがもう通用しない時代になったことは一目瞭然です。
JR山形新幹線「つばさ」のカリスマ車内販売員がいます。
彼女は1日に30万円近くを売り上げるスーパーセールスレディとして知られ、ワゴンに積む商品の選択・発注から、お客さんにかける言葉の巧さ(「つばさ限定商品です」と付け加えるなど)まで、まさにプロフェッショナル。
しかも驚くことに、彼女は固定給のパートだといいます。
もちろん、そんな彼女が周りから放っておかれるはずもなく、ぜひ正社員に! という声がかかるものの、彼女はあえてそれを断り、現場で働き続けるためにパートを選択しているのです。
全国の企業からも講演依頼が殺到しているとのこと。
雇用形態や不況に左右されない人とは、こういう人だと思います。