不動産売買の法律・制度/不動産売買ワンポイントアドバイス

基地があるまちの住宅購入

国内の基地は住宅地に囲まれているケースも多く、何らかの理由でその周辺の物件を検討することもあるでしょう。真っ先に騒音のことが心配になると思いますが、他の区域とは異なる制度などもあります。基地があるまちで住宅を購入するときの注意点を確認しておきましょう。

執筆者:平野 雅之

【不動産売買ワンポイントアドバイス No.054】

戦闘機

戦闘機は訓練による離着陸も多い


国内には数多くの在日米軍基地や施設がありますが、その半数近くを沖縄県に依存し、大きな社会問題となっています。沖縄県以外でも、神奈川県(横須賀基地、厚木基地、キャンプ座間)や東京都(横田基地)など、住宅地に近接する基地が少なくありません。

その一方で、34府県には米軍が常時利用する基地や施設がまったくないため、その存在について深く意識する機会がないという人も多いだろうと思います。

基地の存続問題や米軍がらみの事件についてここで触れることは避けますが、さまざまな理由で基地周辺に立地する住宅を検討する人もいます。そのような場合に気をつけるべきポイントを考えてみましょう。

基地は在日米軍だけでなく日本の自衛隊が共同で運用しているケースも多いのですが、とくに問題となるのはジェット機による深刻な騒音被害です。離着陸が集中するタイミングでは、かなりの音量が続くこともあるようです。

しかし、たとえば神奈川県大和市と綾瀬市にまたがる厚木基地(厚木市とはだいぶ距離が離れています)では、横須賀基地での空母の入出港時に艦載機がまとめて飛来するものの、それ以外のときには頻繁に飛行しているわけではありません。

そのため、住宅の下見に出掛けたときに騒音の程度を実際に感じ取ることができないこともあるでしょう。だからといって、ジェット機が飛ぶときに遭遇するまで何度も下見を繰り返すことはできませんから、売主や地域の住民によく話を聞いてみることが大切です。

また、地元の自治体で騒音の測定データなどを公開している場合がありますから、それらをしっかりと確認するようにしましょう。

さらに、基地周辺の一定区域内では「住宅防音工事助成事業」や「NHK受信料の半額補助」の対象となっている場合もありますが、これらは防衛省の管轄です。たとえば厚木基地なら、南関東防衛局(横浜市)が担当し、対象区域は大和市、綾瀬市、藤沢市、座間市、海老名市、相模原市、茅ヶ崎市のそれぞれ一部となっています。

住宅の防音工事費用が原則として100%補助(限度額はあります)されますが、「防衛省が定めた基準」に沿って工事をしなければなりません。また、対象となった住宅を売却するとき、あるいはリフォーム工事をするときにも、防衛局に対して所要の手続きを求められます。

住宅の話でありながら防衛省が絡んでくるため分かりづらい面もあるでしょうが、これらの内容や手続きについてもしっかりと確認しておくことが欠かせません。

また、「在日米軍基地と住宅」という話では民間人の犠牲を伴った悲惨な墜落事故のことを忘れるわけにはいかないでしょう。基地周辺にかぎらず、米軍機が住宅地へ墜落する事故がこれまでに数多く発生しています。

犠牲者の冥福を祈るとともに、重大な事故が二度と起きないこと、米軍がらみの事件が起きないこと、さらに日本国内の基地から戦争に向かう航空機や艦船がないことを願うばかりです。


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