はじめに
今回は、開業経験を踏まえて、企業の依頼と問題点についてお話をしたいと思います。大企業(以下、「上場企業」を『大企業』とします)、中小企業(以下、「親族以外の被用者がいる企業」を『中小企業』とします)、個人企業(以下、「経営者ひとりの企業や、被用者が親族の企業」を『個人企業』とします)と行政書士の関係について、ご説明いたします。依頼は中小企業と個人企業から
企業の依頼は会社規模による偏りがあります。なぜでしょうか。例えば、建設業法による決算報告書の作成・提出は、建設業法により、建設業許可を受けている大企業、中小企業、個人企業の区別なく義務が課されます。
このように、法律は会社の規模に関わらず、一律に義務を課していることが多いので、本来、行政書士への依頼は、会社規模によって偏らないはずです。しかし、大企業が行政書士に依頼することはほとんどありません。それは、法務部があり自社で申請するか、法律事務所に依頼することが多いからです。
実際、私も、大企業との関わりは数えるほどしかありません。話を聞く限り、一般的な行政書士も私と同様、大企業からの依頼はほとんどなく、中小企業や個人企業からの依頼が多いのです。以下、個人企業と中小企業からの依頼のメリットとデメリットについてお話をします。
個人企業からの依頼のメリット
個人企業からの依頼のメリットは、経営者との個人的な信頼関係ひとつで、依頼を頂けることです。中小企業の場合だとこうはいきません。「会社に持ち帰って、相談の上で、ご連絡いたします」というワンクッションが入ります(そこで、他事務所との厳しい競争原理にさらされます)。個人企業の経営者は個性が強く、人間的魅力にあふれていますが…
個人企業の大変さを強調していくと、親近感を持って頂けることがあります。もちろん、親近感だけで仕事がもらえるわけではありませんが、やはり、中小企業と個人企業では、行政書士のするセールストークは異なります。