デジタルビデオカメラ/デジタルビデオカメラレビュー

ソニー「FDR-AX100」と4K映像編集ソフトの選び方(2ページ目)

今回は、このFDR-AX100をレビューしながら、カメラ本体の操作レビューというより、FDR-AX100で撮影した4Kの映像データを編集するとう視点でのレビューをご報告します。

阿部 信行

執筆者:阿部 信行

デジタルビデオガイド

4Kの映像データ

さすがに、4Kの映像は高画質です。4K対応のテレビではないのですが、我が家の50インチテレビでも、驚くほど高画質な映像が楽しめます。現在、一般的なハイビジョン形式の映像ファイルは、AVCHD形式でですが、FDR-AX100では、「XAVC」と「XAVC S」という、2つのファイルフォーマットが利用されています。

撮影中の「FDR-AX100」

撮影中の「FDR-AX100」


XAVCは、プロ用に開発された4Kのためのハイビジョンフォーマットで、次のような仕様です。

◎XAVCの仕様
解像度:4K (4096×2160、3840×2160)、HD、プロキシ
圧縮方式:MPEG-4 AVC/H.264
ビット数:12bit、10bit、8bit
フレームレート:最大60fps
カラーサンプリング方式:4:4:4、4:2:2、4:2:0

さらに、このXAVCを、民生用途に拡張したフォーマットが、XAVC Sです。XAVCは、データをファイルとして保存するためのコンテナにMXFという、プロ仕様の規格を利用していますが、XAVC Sでは、ファイル形式がMP4です。したがって、一般的なビデオ編集ソフトでも、4K映像の編集が可能です。

イメージとしては、フレームサイズが4K仕様のMP4ファイルと思えばよいでしょう。今回は、このXAVC Sで撮影した映像データを中心に利用してみました。

◎XAVC Sの仕様
解像度:4K(3840 ×2160)、HD、プロキシ
圧縮方式:MPEG-4 AVC/H.264
ファイル形式:MP4
オーディオ:リニアPCM、AAC


●4K映像の解像度
なお、4K映像がどれくらい高解像度かというのは、フルハイビジョン映像のデータと比較すると、とてもよくわかります。AVCHDとXAVC Sとでは、画面のような違いがあります。

XAVC S(3840 ×2160)の解像度

XAVC S(3840 ×2160)の解像度


AVCHD(1920×1080)の解像度

AVCHD(1920×1080)の解像度



プロ用のビデオ編集ソフトで編集する

まずは、プロ仕様のビデオ編集ソフト、Premiere Pro CCでの編集です。なんの問題もなくプロジェクトパネルに読み込め、シーケンスに配置して編集が可能です。この場合、読み込んだXAVC Sのデータは、シーケンス設定を見ると、「RED Cinema」のプリセットを利用しているのがわかります。

「Premiere Pro CC 2014」でXAVC Sを編集中の画面

「Premiere Pro CC 2014」でXAVC Sを編集中の画面

 

プリセットの「RED Cinema」が利用されている(クリックで拡大)

プリセットの「RED Cinema」が利用されている(クリックで拡大)


要するに、RED社の4K対応ビデオカメラで撮影した映像データと同じファイル設定で編集するということです。多分、近いうちにXAVCやXAVC Sのプリセットがアップされるでしょう。

なお、以前のPremiere Pro では、ビデオ編集を始める前に、編集対象の動画ファイルフォーマットに合わせたシーケンス設定が必要でしたが、現在のPremiere Pro CCでは、ファイルフォーマットがわからなくても、最適なシーケンス設定を行ってくれる機能が搭載されています。詳しくは、今後の動画撮影・動画編集で解説予定です。


コンシューマ向けのビデオ編集ソフトで編集する

XAVC Sで記録した4K映像を、コンシューマ向けのビデオ編集ソフトで編集できるのかどうかをチェックしてみました。なお、先にも記載したように、XAVC Sの編集についての詳細は、「動画撮影・動画編集」で紹介する予定です。

●「VideoStudio X7」の場合
コーレルのビデオ編集ソフト、「VideoStudio X7」です。VideoStudio X7では、AVCHD形式のハイビジョン映像を編集する手順で起動し、AVCHDを読み込む方法で読み込んでみました。結果は、なんの問題もなくXAVC Sデータを読み込み、編集が可能でした。

コーレル社の「VideoStudio X7」。問題なく編集可能

コーレル社の「VideoStudio X7」。問題なく編集可能


●「Movie Studio Premium 13」の場合
ソニーのコンシューマ向けビデオ編集ソフトでは、さすがソニーだけあって、XAVC Sとの相性が良いようです。まったく問題なく編集が可能です。「Movie Studio Premium 13」では、ビデオ編集前にプロジェクト設定が必要になるのですが、その場合、ビデオタイプは「メディアの設定と一致させる」を選択し、XAVC Sファイルを参照で選べば、XAVC Sに合わせた設定ができます。したがって、問題なく編集ができます。

[参照]ボタンでXAVC Sを選ぶと、3840×2160のプロジェクトが設定される

[参照]ボタンでXAVC Sを選ぶと、3840×2160のプロジェクトが設定される


「Movie Studio Premium 13」でXAVC Sを編集中の画面

「Movie Studio Premium 13」でXAVC Sを編集中の画面




●「PowerDirector 13」の場合
サイバーリンクの「PowerDirector 13」でも、XAVC Sは問題なく編集可能です。AVCHD形式のハイビジョンファイルと同様に取り込み、編集が可能です。

「PowerDirector 13」で編集中の画面

「PowerDirector 13」で編集中の画面


●XAVC Sを安心して編集
FDR-AX100に限らず、新しいフォーマットの動画ファイルは、きちんと編集が可能かどうか不安なものです。とくに、コンシューマ向けのビデオ編集ソフトしか持っていない場合は、なおさらです。

今回、いくつかのコンシューマ向けビデオ編集ソフトにXAVC Sを取り込んで編集してみましたが、どのソフトでも問題なく編集が可能でした。これなら、安心して4Kを活用できますね。現在は、今回レビューしたソニーのFDR-AX100が唯一のパーソナルな4K対応ビデオカメラですが、今後、各社から登場する4K対応ビデオカメラが楽しみです。


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