日本一「温泉を持っている温泉」 長野県・中房温泉
日本では北海道に次いで、二番目に温泉が多い県が、実は長野県です。その長野県で、安曇野から山奥へと、どんどん進んでいくと「中房(なかぶさ)温泉」があります。標高は約1500m。燕岳への登山基地の山小屋で、登山シーズンは多くの登山客で賑わいます。この温泉の魅力は、なんと言っても未利用の源泉を含めると36本、内湯と外、さらに野外温泉プール(もちろん源泉かけ流し)と、全部で16の湯船を持つ、日本一温泉を持っている温泉というところなんです。しかも独自源泉! これは、そうあるものではありません。
以前は登山客が下山するときにしか、日帰り入浴をすることはできませんでしたが、8年ほど前から一般の方も日帰りで、中房温泉の一部の浴槽を利用することができるようになりました。
とはいえ、16もあるとなると「制覇は無理かも!?」と思いつつも、やっぱり全部入りたいと思ってしまう方が温泉ファン。私ももちろんそう思って宿泊し、プール以外すべての温泉に浸かりましたが、正直忙しかった……。
バラエティーに富んだ全ての温泉を楽しむため、可能であれば宿泊し、さらに早めのチェックインをおすすめします。
明るい時間ではないと行くことができない野天風呂がいくつかありますが、そのうちのひとつが「菩薩の湯」。お宿からこの野天風呂まで10分程歩きました。春は新緑、秋は紅葉と四季折々の景色を楽しみつつ、さらにマイナスイオンを吸収しながら温泉を存分に楽しむことができます。空気よし、温泉よしと本当に最高です。白い湯の花がたくさん舞っていました。
さらになかなかお目にかかれないのが温泉プール。長さ17m、幅8.7m、深さ1,2mで温泉を用いたプールは36℃くらいとぬるめですが、もちろんこの温泉プールも源泉掛け流し。このプールの歴史は古く、大正12年に完成されたもので、国の登録文化財にも指定されています。
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