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共働き世帯が住宅取得で陥りやすい状況とは?(2ページ目)

今や、我が国の平均的な家族像となりつつある共働き世帯。収入の面で有利なため、住宅の世界でも主役になりつつあります。今回は、ある夫婦の事例を通して、共働き世帯が住宅を取得する際に陥りやすい状況を考え、どのようにすれば良いのかについて考えていく内容です。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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結論から申し上げると、共働き世代が陥りやすい問題は、「住宅取得の検討に十分な時間と手間暇をかけにくい」ということ。このことが判断を大きく誤らせ、将来的に「もっと良い家に住めたのでは」と後悔することになる要因になります。では、私の友人夫婦のケースではどうでしょう。

検討のための時間と手間を掛けにくいのが最大のネック

友人夫婦は40歳代でそれぞれの所属する組織で責任のある役職に就いています。そのため、帰宅時間も不定期になりがちですし、休日も合わないことが多いようです。そのような環境ですから、奥さんの職場に近く、しかも保育園にも近いという立地が非常に魅力的に映るとしてもしようがないでしょう。

模型

住宅の間取りを表した模型。間取りを考える際には、今の暮らしに必要なことだけでなく、将来のライフスタイルの変化にも目を向けたい(クリックすると拡大します)

しかし、少し違う視点を持てば異なった判断もできそうです。例えば、駐車スペースの問題。娘さんはもうすぐ二十歳ですから、あと2年か3年もすれば独立するはず。最近は、親と同居する若者も多いですが、おそらく10年も一緒に住むことはないでしょう。

だとすれば、それまで間は近くに駐車場を借りればいいわけで、駐車スペース3台分という課題はクリアできます。このように、娘さんが近い将来独立することを視野に入れれば、ファミリー向けマンションを購入するなど違う選択も可能になるはずです。

ここでポイントが一つ見えてきます。それは、「今の暮らし」だけをベースに判断してはダメだということ。将来の暮らしの変化を考慮することで、住宅取得には違った可能性がみえてくるということです。

例えば、友人夫婦の希望の中には、「できるだけイニシャルコストを抑えたい」ということもありました。この場合、親子3人で生活するということを前提とするならそれほど大きなスペースは必要ありませんから、希望エリアに近い場所で土地を探して、そこに平屋建てで建てるという選択肢もあります。

平屋建てなら、2階建てなどに比べ比較的割安なコストで建てられますし、土地探しから始めるなら希望エリアの中でもっと選択肢が広がります。つまり、友人夫婦にとって「絶対なくてはならない」というこだわりも、違う考え方からすると実はそれほどこだわらなくてもよいことになります。

住宅取得の経験がある第三者を巻き込むのも手

ハッキリといってしまえば、「夫婦の終の棲家を得ること、そこでまだ幼い男の子を健やかな成長を願って」という割には、検討する際の時間も労力も十分ではありませんし、小さな問題にこだわり過ぎているのです。わかりやすく表現するなら、友人夫婦は木を見て森をみていないということになるのです。

施行現場

ある住宅の施工現場の様子。ハウスメーカーなどでは見学会を頻繁に実施している。そうした機会を利用し、住宅についてのしっかりとした理解をした後、住宅取得の決断をしたいものだ(クリックすると拡大します)

友人夫婦の場合、本来は特に今すぐ住宅が欲しいという状況ではなかったのですが、「希望する物件が売れてしまうかもしれない」ということが判断を誤らせる原因となっていたように思います。皆さんにはこうしたことに惑わされないよう、できるだけ時間に余裕を持ちつつ、検討していただきたいと思います。

さて、友人夫婦がその後、どのよう決断をしたのか、未だ分かりません。ただ、私のようなそれなりに住宅事情に詳しい人間がアドバイスすることで、より良い住宅取得に近づけたのではないかと思います。とはいえ、このような環境は誰にでも整っているわけではありません。しかしながら、できることはいくらでもあります。

例えば、既に住宅を建築・購入した人にアドバイスを求めること。できればその人の自宅を訪問し、住み心地を確認し、意見をもらいましょう。このほか両親と一緒に物件をみてみることも良いでしょう。彼らは、暮らしの先輩。もしかしたら貴重なアドバイスをくれるかもしれません。

要するに、第三者を巻き込んで客観的な意見に触れ、その中から皆さんなりの住まいに関するこだわり、価値観を整理することが大事なのです。このほか、希望するハウスメーカーや住宅会社の見学会にも参加しましょう。完成物件だけでなく、現場見学会など様々な場が用意されています。

共働き世帯というのは資金の面だけをみると有利に思われがちですが、時間的・精神的な面ではむしろ不利かもしれません。そうした点を肝に銘じて、住宅取得に望んでいただきたいと、私は思います。一生で最も高い買い物ですから、そのくらいすることが本来、あるべき姿なのではないでしょうか。


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