則本昂大投手にとって憧れだった星野監督
星野監督は2011年に楽天の監督に就任、2013年に球団初の日本一を達成した。昨年オフには3年契約を結び、連覇を目指したが、絶対的なエースだった田中将大(現ヤンキース)やマギー(現マーリンズ)を失った穴は大きく、手術、休養からの復帰後もチーム状態は上がらず、低迷していた。低迷したことの責任を感じていた1人が、田中からエースの座を譲られた則本昂大投手(23)だった。勝てない時期があった。星野監督からもよく怒られた。その男が、指揮官が辞任を表明した翌19日の日本ハム戦で、9回3安打13奪三振。史上6人目となる出場全選手から三振を奪い、田中が2011年に記録したシーズン6完封を塗り替える7完封の球団新記録で13勝目(9敗)をマークしたのだ。
則本にとって星野監督は憧れの監督だった。中学時代の文集で一番好きな監督に名前を挙げたほど。その指揮官の前で申し分ない快投を見せ、「一緒にできる試合は残り少ない。成長できたところを見せたかった。こういう結果なので、さすがにきょうは褒めてもらいたいなと思います」と話した。同時刻に行われたインタビューで、星野監督は「これが本当のエースのピッチングだった」と、初めて“エース”という言葉を使い、最高の賛辞を送った。
報道陣から監督のこのお褒めの言葉を聞いた則本は、「ホンマっすか! 退かれる時に少しでも良い順位にいるべきだし、しなくちゃいけない」と必勝を誓った。
則本を始めとする星野チルドレンが、指揮官に有終の美を飾ってもらうために全力を尽くす。