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スコットランド独立機運を加速させたものとは(2ページ目)

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(イギリス)が、一角をなすスコットランドの独立を巡り揺れている。独立かイギリスにとどまるかは9月18日に行われる住民投票で決定されるが、もし独立となればその影響はスコットランドとイギリスとの関係だけにとどまらず、分離独立問題を抱えるスペインなど他国に飛び火する可能性もある。

松井 政就

執筆者:松井 政就

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ナショナリズムの持つ負の側面

とりわけ中国は、日本の領空や領海の侵犯を繰り返すなど、軍(つまり政府)が過激な行動をとっているが、そんな政府が国民の暴発を恐れるということは、ナショナリズムのマイナスエネルギーを政府自身が認識していることの裏返しだ。

人間というものは個人単位では冷静であっても、集団でいわゆる“アツくなった状態”となると歯止めがきかなくなる場合がある。そんな時、ナショナリズムは決してブレーキとはならず、アクセルの役割を果たすことは何より歴史が証明している。

致命傷を避けたいイギリスとスコットランド

スコットランド独立問題に話を戻すと、今回は住民投票という民主主義的手法で決着が図られる。

しかし問題は簡単ではない。

まず、グレートブリテン島の約3分の1の面積を持ち、GDPや人口の約1割を占めるスコットランドの独立はイギリスにとって国家の分裂を意味する

しかもスコットランドは安全保障上の要衝でもある。

ロシアがクリミア半島を力づくで制圧し、北方領土を返還しないのは、その地域が軍事上の要衝であるからに他ならない。スコットランドが独立すれば、イギリス、スコットランドともに、安全保障への不安が生じることとなる。事態は複雑だ。

スコットランドにとってどんな未来が理想的かは誰にもわからないし、仮に独立となった場合、具体的にどんな未来が待っているかは誰にもわからない。

しかし、イギリスへのルサンチマンといった負のエネルギーによって決定されることだけは理想的とは言えない。

投票は現地時間の明日、9月18日に行われる。
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