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小さな子供のママ必見!お風呂に潜む菌はどうすべき?

お風呂掃除は、目につきやすい水垢やカビを落とすことばかりに重点を置きがちです。しかし、菌がひそんでいる見えない場所、例えば追いだき配管や排水口にも注意しなければ、咳などの症状を起こす細菌・カビなどが身体に付着してしまいます。そこで、菌を落とすために注意したい掃除ポイントや、効果的な除菌方法をご紹介いたします。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

お風呂の環境

浴室の掃除といえば主に浴槽ですが、目に見えない部分に注意が必要です。

浴室の掃除といえば主に浴槽ですが、目に見えない部分に注意が必要です

お風呂は一般の部屋と異なり、浴室として床と浴槽に分かれ、床には排水溝、浴槽には追いだき用の配管があります。また、シャワー・蛇口などの水回りの設備もあり、湯気によって温度・湿度が高い環境です。部屋とは異なる環境であるために、戸を閉めると密閉度が高くなります。

最近では、浴室乾燥機などが設置されていることも増えてきました。これにより湿度を下げることができるため、お風呂の後もカラッとして清潔になったような気持ちになります。しかし、床と浴槽を乾燥させておくだけで、お風呂の衛生面は本当に安心できるのでしょうか?
 

排水口や配管など、お風呂に潜む菌の種類

温度と湿度、さらに身体を洗うことで出てくる髪の毛や皮膚の垢などがあると、細菌・カビが増える環境が整ってしまいます。大腸菌が最もいい状態で増殖した場合、15~20分に1回分裂し、2つに分裂した細菌もまた分裂しますので、20分に1回とすれば1時間では8つになります。つまり、その状態で6時間経てば、理論的には2の12乗で4096個の大腸菌が発生することになります。

また、大腸菌以外にもブドウ球菌などが増殖しやすく、カビの中ではクロカビが多いです。特にクロカビは水の多い場所で繁殖し、低温、乾燥状態になっても生存力が強いのが特徴で、一旦生えるとなかなか除去ができません。 
 

抵抗力が弱い赤ちゃんは要注意!
お風呂に潜む菌で起こる病気

ベビーバス

赤ちゃんの入浴には衛生面に注意しましょう

生後5カ月までに起こす細菌性髄膜炎の原因として、B群連鎖球菌と大腸菌が報告されています(※)。そのため、生後5カ月までの赤ちゃんは抵抗力が成人と比較すると低いです。

大腸菌は新生児では髄膜炎を起こし、ブドウ球菌は皮膚に水疱などを作る伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん:とびひ)の原因になります。クロカビは胞子が気管支に侵入することで、喘息などのアレルギーや長引く咳を引き起こす可能性があります。特に子どもは皮膚も消化管も弱いので、湿疹や下痢、腹痛などの症状も出やすいといえるでしょう。またこれらの細菌・カビは、いずれも胃腸炎の原因にもなります。

直接口にしたり、触れたりするグッズや場所が何かと多いお風呂では、お湯が口から入ることもあります。生まれてすぐから、こまめにお風呂を除菌することで衛生管理をしてあげまょう。
 

お風呂に潜む菌を増やさないために

お風呂で菌が繁殖する条件となるのは、温度と湿度です。細菌が最も増える温度は36℃前後ですが、60℃でも生きることができ、湿度が50%以上あると繁殖できます。一方、カビが最も繁殖しやすい条件としては、温度は25~28℃、湿度は80%以上です。お湯が40℃としても、冷めてくれば細菌もカビも繁殖しやすい環境になってしまいます。逆に言えば、細菌やカビを増やさない環境として、10℃以下もしくは湿度50%以下にすること、そして、すでに存在してしまっている細菌やカビを除去することが重要になります。

これらの菌を増やさないために
  • 温度を下げること……10℃以下が望ましいので、冬なら換気をしておきたい
  • 湿度を下げること……湿度50%以下にするために、浴室乾燥機があれば使用する

定期的な除菌を心がけましょう

浴室をしっかり掃除しましょう

浴室をしっかり掃除しましょう

また、細菌とカビの除去には、定期的に以下のことを行いたいものです。
  • 床や浴槽を洗剤を使って洗うこと
  • お風呂の後もしっかりと洗い流して、乾燥させること
  • 浴槽の蓋をしっかりと洗うこと
  • 窓際など、目立たない所に気をつけること
  • 追いだき用の配管も掃除すること

床や浴槽などはもちろん、特に追いだき用の配管などは目に見えないので、普段から配管用の洗剤を使い、掃除をしておきましょう。


※砂川慶介先生らの報告,「本邦における小児化膿性髄膜炎の動向(2003~2004)」,『日本感染症学雑誌』 2006年 一般社団法人 日本感染症学会 発行
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