中学受験/中学受験の心構え・基礎知識・トレンド

中学受験で不幸にならないために親が考えるべきこと(2ページ目)

中学受験を取り巻く環境は日々変化しています。私たち大人は、前途ある子ども達が不幸にならないように、いま何をすべきなのか真剣に考えるべきだと思います。今回は、中学受験の常識とされる5つのことに深く切り込み、本当に皆さんがいま子ども達にやらせている方法が正しいのかどうか、見直していただくきっかけになればいいなと思っています。

宮本 毅

執筆者:宮本 毅

学習・受験ガイド


3.家庭教師や個別指導を追加するときの注意点

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子どもの明るい未来のために

子どもの成績がなかなか上がらない場合、家庭教師や個別指導に頼りたくなるのが親心でしょう。お気持ちはよくわかりますが、冷静に考えてください。成績が上がらない原因は一体何でしょう。お子さんに無理をさせてアップアップになり、復習がうまくいっていないからではないですか?そういう状態なのに、さらに子どもの時間を奪うような真似をしても、うまくいくはずがありません。

もし成績向上のために家庭教師や個別指導をつけたいとお考えなら、塾で取っている単科講座やオプションテストなどはすべて外してあげてください。「そんなことをしたら勉強しなくなる」というご心配でしたら不要です。なぜならアップアップになっている子どもほど、塾ではボーっとして授業を聞いていないことがほとんどですから。

塾の内容をきちんと理解させたいとお考えなら、一流のプロ家庭教師を雇わなくても、たとえば知り合いの、中学受験を経験したことのある大学生のお兄さんなどでもいいと思います。その方が年齢が近い分いろいろな悩みごとなども相談できますし、気分転換しながら学習ができるでしょう。

しかし結局、なんでも「わからない」といってすぐにヒントを求める依存心の高いタイプは、中学受験で上位の学校を狙ってもなかなかうまくいかないものです。そういう場合は保護者の皆さまの方が、考え方を180度回転させる必要があるでしょう。

これについては次の項目で詳しくお話しします。

4.成績が上がらないときに親はどう考えるべきか

保護者の皆さんは、「中学受験の成功」というものをどのようにお考えでしょう。多くの方が「第一志望の学校に合格すること」だとお考えなのではないでしょうか。私はあえてこの考え方を否定します。なぜなら、お子さんが成長してどんな大人になるかまで長く長く見ていかないと、中学受験させてよかったかなんてわからないからです。

首都圏のトップ校と呼ばれる学校でも、毎年何人か学校をやめていきます。あんなに頑張って、朝から晩まで勉強したのに、憧れて入った学校をやめていかなければならないのは不幸なことです。ある御三家出身の方は、中学受験時代にできた母親との確執をどうしても解消できずに、社会人になった今でもひきずっているそうです。私とて、武蔵中を卒業したのにしがない塾講師などやっているのです。一般的な「成功者」から見たら、塾の先生など路傍の石コロに過ぎないでしょう。かといって私は中学受験をしたことを後悔しているわけではありませんが。

大切なことは、御三家中を出たってその後の人生が保障されているわけでは決してないということです。東大の合格率は、御三家中全部合わせると50%に達しません。偏差値が高いからといって、大学受験さえ保障されないのです。

一方、小学生時代は太陽のもとで真っ黒になって遊び呆け、地元の公立中から公立高校に進み、東大に合格する人もいます。人生とは何と不公平なのでしょう。片や中学受験で深夜まで必死に勉強してトップ校に入ったのに、大学受験で大逆転を喫するのですから。

しかし思い通りにならないことが人生なのです。子どもがどんな人生を歩むかは子ども次第ですが、親がそれを見誤ってはいけません。皆さんが考える「中学受験の成功」が本当の成功につながることなのか、保護者の皆さんが冷静に分析すべきなのです。

5.中学受験は決して人生のゴールではない

私はこれまで、自著の中でも指導においても、「中学受験は決してゴールではない」と言い続けてきました。中学受験では、人生の何にも決まらないんだということを、保護者の皆さんはもっともっと知ってください。中学受験に失敗したからって、中学受験を途中でドロップアウトしたからって、何も気に病む必要などないのです。胸を張ってその選択をしたっていいんです。

お子さんがなかなか勉強したがらない?だったら中学受験じゃなくてもいいじゃないですか。お子さんの成績がなかなか上がらない?もしかしたら高校2年生で急激に伸びるかもしれませんよ。とらえ方次第で、良いようにも悪いようにも取れるのです。考え方ひとつです。

お子さんのためと言いながら、自分のための中学受験になってはいませんか。中学受験はブランドバッグを手に入れるのとは違います。やや厳しい表現の部分もありましたが、今回の記事を中学受験をさせる目的を今一度冷静に考え直してみる、ひとつのきっかけとしていただけたらと思います。

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