トップコンビと同時に、実力派かつ雪組副組長として組をまとめてきた麻樹ゆめみさん(1998年入団)、白渚すずさん(2005年入団)、大澄れいさん(2006年入団)、天舞音さらさん(2008年入団)、寿春花果さん(2008年入団)も退団しました。
そして、未涼亜希さん(1998年入団)という大きな存在も、宝塚歌劇団を卒業することとなりました。
未涼亜希
未涼亜希(みすずあき)さんは1998年宙組公演『エクスカリバー』『シトラスの風』で初舞台を踏みました。その後、花組に配属され、2010年に雪組に組替えしました。2004年には『天使の季節』と『La Esperanza―いつか叶う―』で、新人公演の主演を務めました。
2012年には、ショー形式のバウ・エンターテイメイント『インフィニティ-限りなき世界-』、2013年には特別公演『ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌』のブラック・ジャック役で主演をしました。
ノーブルでクールな雰囲気。優しくシルクのような魅力的な声。青年からおじ様まで、悪役から三枚目まで何でもござれ。台本の「……」の作り方の上手いこと。芝居、ダンス、歌と三拍子揃ったカッコイイ男役。
そんな未涼亜希さんには“演じる役すべてをオイシイ役”に変えてしまう凄さがありました。
『虞美人』の張良。『黒い瞳』のプガチョフ。『ロミオとジュリエット』のベンヴォーリオ。『ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌』のブラック・ジャック。『心中・恋の大和路』の丹波屋八右衛門。そして『一夢庵風流記 前田慶次』の雪丸……。代表作を挙げればキリがありません。
トップスターが太陽ならば、未涼さんは輝く月でしょうか。違う温度、違う色の輝きを放ちました。こうした上級生がいることで組子たちは成長し、こうしたスターがいることで作品の深みが増す……。雪組、いえ宝塚歌劇団にとって、貴重なスター、名バイプレーヤーでした。
トップスターが退団する際、私はいつも大好きなこの句を思い出します。「散りぬべき 時知りてこそ世の中の 花も花なれ 人も人なれ」(細川ガラシャ)。
軌跡を残しながら花の如く咲いた壮 一帆さん……。そして愛加あゆさん、未涼亜希さんら退団者の皆さんの舞台姿を忘れません。お疲れ様でした。ありがとう。