軽視できない足のむくみ
足のむくみを放置すると慢性化・重症化の可能性も
足のむくみ・だるさ・疲れなどに代表される、足の悩みをかかえている人は、成人女性の50%以上にものぼると言われています。しかし、主に仕事を終えた夕方から夜にかけて症状が強くなり、一晩寝た翌朝には症状が軽減することがほとんどであるため、疲労がたまっているだけだと考えられ軽視されやすい傾向があります。
こうした症状を放置してしまうと、「静脈還流障害」という慢性的な静脈機能不全に陥ってしまう危険性があります。足のむくみなどの自覚症状があることがすでに軽度の静脈還流障害になっていることも考えられ、放置せずにしっかり対処していくことが大切です。
静脈還流障害は足のむくみ・だるさ・疲れを感じやすくなることに始まり、皮下の静脈が太く蛇行して足の表面に血管が浮き出る「静脈瘤」、皮膚の色素沈着などの症状、さらに進行すると「皮膚潰瘍」などにも発展する可能性を持っています。いかに早期から対処をしておくかで進行度や重症度が大きく異なると考えられています。
足のむくみの原因と慢性化のメカニズム
静脈還流障害の原因のほとんどが、ふくらはぎの筋肉の運動不足によると考えられています。ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」と呼ばれ、下肢に集まってきた血液を心臓に押し戻す役割を担っているのです。この押し戻す機能はふくらはぎの筋肉の収縮と弛緩によって発生するため、立ち続ける・座り続けるなど一定の姿勢が継続し、ふくらはぎの筋肉が動かない状態が続くとふくらはぎに血液が留まります。
こうなると静脈内部の圧力が高まり、血管の外に血液の水分である「血漿(けっしょう)」をしみ出させることで圧力を下げようとします。これがむくみの第一原因です。
こうした足のむくみは慢性的な状態になると、静脈に存在する血液の逆流を防ぐ弁を破壊し、炎症を引き起こす原因となります。弁が壊れると血液の循環が滞り、炎症が発生すると細胞外に血漿が漏出するため、さらにむくみが助長されてしまいます。
こうした一連のサイクルが静脈還流障害の発生原因であり、予防には同一の姿勢を長時間とることを避けること、こまめにふくらはぎの筋肉のストレッチングを行うなどが有効であると考えられます。
では、次にこうした静脈還流障害を東洋医学的な視点から考え、症状の改善に有効なツボについてご紹介します。