3:(オジサン層を中心に)組織のあり方を考える
ビジネス雑誌や戦国時代に精通する世代が組織を考えることは、当然です。
『隠蔽警察』は人間関係や組織の不条理が綿密に描かれ、話題になりました。組織をロジックで読み解く 東大卒の竜崎伸也(杉本哲太)は、キャリアに甘んじることなく 現場に学びながら、素直に反省もできる人物です。一人ひとりが 主体的に捜査できる環境を整備した敏腕なリーダーに、学び考えることは 多岐にわたりました。
竜崎伸也に比べ、温かい上司的印象を故意に排除して 組織に臨むのが、『TEAMー警視庁特別犯罪捜査本部ー』の 佐久普吾(小澤征爾)です。こちらは組織を 大河ドラマ的に読み解くというかんじでしょうか。策士と呼ばれる主人公は、組織を効率的に使い、次から次へと仕掛けることで 事件を解決に導きます。一見冷淡ですが、実は一人ひとりの能力を熟知し判断してのこと。組織で働く視聴者にとって、こちらのタイプも興味深いリーダー像と言えるでしょう。
4: 正義と真実を考える
すべての刑事ドラマにおいて、正義と真実は大きなテーマになっています。人間として 哲学的にあるいは倫理学的に 様々な角度から考えるべき問題で、非常に難しい問題でもあります。
『相棒』の杉下右京(水谷豊)は、ドラマにおいて羅針盤であり指針であり 最後の砦として存在しているように思います。
裁判官制度、遺伝子問題など現実においても 未解決の課題に、杉下刑事はすべての英知を手繰り寄せ、正義に照らし合わせながら 挑みます。こういった問題提議の連続が、考え主張する視聴者を育て 活発にさせました。「もしも限界があるとするならば、それは諦めた瞬間でしょう」 の名言どおり、決して退かない杉下刑事の粘りに、視聴者もまた 考え続けるのでしょう。
事件に人間として向き合うのが、『新参者』の加賀恭一郎(阿部寛)です。事件は常 に 人間の手によるものだからです。そして、背景にある救いようのない哀しみに 静かに寄り添います。視聴者もまた 命に寄り添う意味を 考え始めます。解決はできなくても 凍てついた事件を包み 体温を与えることの大切さに 、視聴者は気づかされ 考えるのでしょう。