レトロな郵便局は平成に入ってから、かなり数が少なくなりましたが、多摩地域には現役でがんばっている局も存在します。今回はガイド自身が以前から気になっていた郵便局を訪れ、存在する昭和の風景の魅力をあますところなくお伝えしていきたいと思います。
高尾駅から近い浅川郵便局
まずは高尾駅から徒歩3分ほどのところにある浅川郵便局を訪れました。浅川郵便局は昭和20年代から昭和30年代にかけてよく見られた平屋建ての建築です。それほど規模の大きな郵便局ではありませんが、昭和47(1972)年に新しく八王子西郵便局ができるまでは集配業務を行っていた郵便局、つまり地域の拠点となる郵便局でした。せっかく来たので、記念に浅川郵便局の風景印を押してもらいました。図案は参拝客で賑わう高尾山薬王院とケーブルカー、そして多摩御陵が描かれています。なお局員さんによると、現在の浅川郵便局は建て替えを計画中です。時代の流れとはいえ、昭和の風景がまた一つ消えていくのは、少し寂しい気もしました。
陣馬高原の上恩方郵便局
続いて圏央道を通り、八王子西ICから陣馬街道へ入りました。ひたすら山道を進んでいくと、約20分でたどり着くのが、上恩方郵便局です。高尾駅からは陣馬高原下行きの西東京バスで行くこともできます。「夕焼小焼」バス停で下り、さらに3分ほど坂道を登ったところです。上恩方郵便局がすごいのは、昭和13年開局当時の建物を現在も使っていることです。入口の看板も、なんと当時の右書きのままです。局員さんも「あちこちガタが来て大変」とのことですが、ぜひこのすばらしい局舎を大切に保存・運用していっていただきたいと思いました。
この局の風景印の図案は、夕焼小焼の石碑と陣馬高原の「白馬の像」、そして富士山でした。上恩方は童謡「夕焼小焼」「揺籃のうた」「汽車ポッポ」などの詞を作った中村雨紅の出身地として知られ、生家の近くには農村体験施設「夕やけ小やけふれあいの里」があります。暑さ厳しい夏に訪れましたが、高原の爽やかな風が吹いていて良いところでした。
次のページでは、檜原郵便局と旧局舎をご紹介したいと思います。