バーチャル技術でこれから建てる住宅を疑似体験!
要するに、住宅のバーチャルな空間を体験することで、自分たちがこれから建てて居住する住宅がどのような雰囲気なのか、例えば光の入り方がどうなるのかなどについて、前もって理解できるわけです。そのコーナーを体験したお施主さんは、3Dプリンターで作成する「我が家の模型」をプレゼントされるという粋な企画も用意されていました。この施設のキャッチフレーズは「試着」する、とされており、だから「TRY家」なのです。実際に服のように試着できるわではありませんが、住まいづくりにそれくらいの気持ちでのぞみ、できるだけ納得して住まいづくりができるよう配慮しているという点では、この取り組みは非常に興味深かったですし、評価できる施設だと私は感じました。
大和ハウスの「TRY家lab」をはじめとした見学施設は、一般的に契約前、あるいは契約後のお客さんを対象にした施設であり、利用には事前予約が必要です。それはどのハウスメーカーでもだいたい同じです。ですが、「どうしても」という人には、見学をさせてくれるはずですから、関心のある方は是非、訪れてみてください。
ちなみに、前述した大和ハウスの研究所や工場は、地域の学校の社会科見学の場にもなっているそうです。そうしたことは、大和ハウスというハウスメーカーが、しっかりと社会貢献に取り組んでいるともいえそうです。このような視点でみることも、住宅やハウスメーカーを評価するための材料となるのではないでしょうか。
なぜ、ハウスメーカーは見学施設を持っているの?
ところで、実は大和ハウスのこのような見学施設をご紹介するのにはわけがあります。皆さんに考えて頂きたいのは、「なぜハウスメーカーがこのような施設を設けるのか」ということです。大和ハウスのような施設をつくるためには大きな費用が必要です。なぜ、そうしてまでこのような施設が必要なのでしょうか。それは、冒頭で申し上げたように、注文住宅は何もないところから始まるものだからです。何もないところから一から住まいづくりを検討し、しかも十分に納得してもらうためには、このような施設がなければならない、と彼らは判断したからなのであり、そのために経費と労力を費やしているのです。
数千万円もする高い買い物をするのに、提案されたプランだけで納得できるでしょうか。比較したり、体感したりしてようやく納得できるはずです。特に住宅づくりには、必ず様々な不安がつきまとうもの。それは、耐震性や安全性、快適性、将来の資産価値などなどです。ですから、一つひとつ納得のいく説明が欲しいですよね。それらの不安や疑問に応えるために、このような施設が必要なのです。
誤解のないように申し上げておきますが、大和ハウスのような大規模かつ、高度な技術を用いた施設が必ず必要ということを申し上げたいわけではないのです。皆さんが住まいづくりを検討し、依頼先候補としている会社が、皆さんに対して説明をしっかりしようとしていますか、ということです。それはその会社が、皆さんへの責任、社会的責任をしっかりとしているのか、ということです。
私の取材した中では、ある地方にある地域密着型の住宅会社は、モデルハウスにお客さんを一晩泊めて、それでその会社の住宅の性能や提案が優れていることを理解してもらうという取り組みをしていました。実は宿泊体験型のモデルハウスは今でこそ一般的ですが、その会社はハウスメーカーなどに先駆け、早くからそうした取り組みをしていました。
私はそこにその会社の誠実さを感じました。このような取り組みに無関心な住宅会社は結構あります。住宅事業者にも様々な人たちがいるわけで、その中から誠実さを持つ人たちを選ぶためには、見学することは欠かせません。夏休みの期間を利用して、住まいづくりに関する見学会に参加してみられてはいかがでしょうか。