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住まいは「箱から場の産業」へ

消費税引き上げ後の反動減が予測される中、住宅の未来をどう住まい手に提案していったらよいのか転換を迫られているのは、大手住宅メーカーだけではない。日本の住宅着工の9割を施工している全国の工務店業界にとっても喫緊の課題。最近行われた最大手フランチャイズネットの全国大会からリポート。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

消費税引き上げ後の反動減が予測される中、住宅の未来をどう住まい手に提案していったらよいのか転換を迫られているのは、大手住宅メーカーだけではない。日本の住宅着工の9割を施工している全国の工務店業界にとっても喫緊の課題。最近行われた最大手フランチャイズネットの全国大会からリポート。

木造住宅の未来を語る

大会

目黒雅叙園で行われた住宅FC全国大会

行われたのは、日本最大級の住宅ネットワーク「ジャーブネット」を主宰するアキュラホームの35周年記念決起会。全国の工務店動向が肌で感じられるので、ガイドも毎年リポートしていますが、今年は登壇者3人による対談「木造住宅の未来~つくり手の挑戦×住まい手の変革」シンポジウムを見学してきた。

シンポジウムのテーマは「木造住宅の未来~つくり手の挑戦×住まい手の変革」。そこからは木造住宅、もっと言えば住宅に限らないテーマを含んでいたように思ったので、簡単にリポートしてみたい。

高田光雄・京都大学大学院工学研究科建築学専攻教授、松村秀一・東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授、そして当AllAboutガイドでもある大久保恭子さんが登壇。先だって行われた基調講演「箱の産業から場の産業への大転換」「住みこなすことを楽しむ文化」では両教授とも「良質なストックを育てていくことが大切」と強調。これまで「良質なストックをつくって残す」と言われ続けてきたが、「良質なストックの良いところを育てていく」という話は新鮮だった。

街や団地再生に集まる若者たち

団地再生

若者が関わった京都の団地再生の事例も紹介

「古い建築にも庭や和室、そのまわりに醸成された地域コミュニティなど良い部分がある。全部壊すのでなく、良いところを残し、さらに育てていくことが必要」(高田教授)

大久保氏が「お二人の高尚な理論は面白いのですが、現実をみると今の若い30-40代は生まれた時から集合住宅住まいも多く『庭はいらない』という発想であったり、共働きも多くて地域の付き合いも希薄化している。このギャップを埋めていくにはどういう考え方をしたらいいか」と質問を投げかけると、

「京都で団地を再生したときに『面白そう!』と集まってきたのは、団塊ジュニア世代の若者たちだった。居住文化を残すことを第一に、部分的に断熱改修したのだが、工事を手がけたのは団塊ジュニア世代だった。環境問題や倫理観から『古いものを残すべき』を振りかざしてもダメ。彼らの純粋に『面白そう』という好奇心を引き出していくような形で、ストックリノベーションは実現できるのではないか」(高田教授)
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