アパートマンション経営/リスクを回避する貸し方・テクニック

入居審査法見直しのススメ

今からの時代大切なのは、入居審査の基本に立ち返ることです。電話や面談などで入居希望者と直接会話し、収入面の確認だけではなく、転居理由などについても確認する作業が必要になります。

浦田 健

執筆者:浦田 健

アパート・マンション経営ガイド

入居審査法見直しのススメ

入居審査法見直しのススメ

先日私が代表理事をつとめる一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)へ部屋探しを一緒にしてほしい、という電話がかかってきました。

「地方から娘が就職で上京するのですが、知り合いはもちろん、不動産屋さんなどどこに頼めばよいのか分かりません。J-RECであれば信頼できそうなので部屋探しを手伝っていただけませんか?」

という内容です。そこで、急遽当社のスタッフがお部屋を探すことになったのです。

地方から上京して、一日で部屋を決めてしまわないといけないということで事前にヒアリングしておいた要望点をふまえ、物件をいくつかピックアップしておきました。結果は無事に部屋が決まり、契約に至ることができました。

この入居申込にあたってふと感じたことがありました。それは、「入居審査が融通の利かないものになってはいないか?」ということです。

間違った入居審査をしてしまうと、本来入居してもらいたい優良入居者を断り、反対に、入居させるべきでない不良入居者を受け入れてしまう可能性があります。

そこで今回は、「融通の利かない入居審査」とは何なのかを含め、入居審査について考えていきたいと思います。

画一的な入居審査でいいの?

今回案内した方は高校を卒業しての就職で、毎月のお給料はだいたい17万円ということでした。実際の手取りはおそらく14、15万円程度になるのではないでしょうか。

でも、女の子の一人暮らしは心配、ということで、バス乾燥機やディンプルキー、築浅といった条件の物件だったので、家賃は6万円と、当初予算を超えてしまいました。

入居審査の一つで、よく、

「家賃は手取り給料の1/4以下になるかどうか?」

といった基準を設けるのが一般的な収入の目安です。

でも、私はこの基準が一人歩きしてしまうのはとっても恐いことではないかと考えています。

もし、「家賃は手取り給料の1/4以下」というのが条件だったとすると、今回スタッフがご案内した方はこの物件には入居できないことになります。でも、スタッフから話を聞いてみると、この娘さんは滞納したりするような属性の悪い方ではないように感じました。

また、親御さんがわざわざ地方からでてきて、一緒に部屋探しをしています。部屋探しの動機も就職による上京のため、と明確にわかっています。万が一、家賃支払いに困るようなことがあっても親御さんがしっかり助けてくれるだろうな、ということも痛いほど分かります。

収入の条件では審査基準からはずれてしまいますが、ヒアリングをしていくうちに、これをカバーできる要素がいくつも見つかったのでした。

不動産会社が介在する意味とは?

しかし、もしあなたが収入条件は絶対、と頭でっかちに考えてしまっていたら仲介会社や管理会社はこのような申込希望者の情報すら報告してくれないかもしれません。

また、「収入が悪ければ、保証会社利用必須」、としていた場合、初期費用が余分にかかるということで、それだけで入居を見送られてしまう、というケースもあるかもしれません。このようなケースは大家さんが知らないところで意外に多くあります。

反対に、収入条件がいくらよくても直感で、

「ん?何かこの入居者案内していて感じが悪いぞ。入居してからトラブルを起こすかも・・・」

と感じるときがあります。また、直接案内していなくても、入居意思確認時に違和感を感じることもあります。これは連帯保証人への保証の意思確認のときでも同じです。

いくら滞納保証審査が通ったとしても、トラブルになることも多いのです。


「おいおい、じゃあ一体どうすればいいんだ?」

といわれそうですが、やはり、一番良いのは、どのような申込であれ、いったんは受け入れ、申込内容を見た上で、申込者と話してみること、もっといえば、直接面談してみることですよね。

しかしながら、入居審査は申込後すぐに行わないといけないものなので、面談審査を行うのはサラリーマン大家さんなどにとっては時間的には厳しいといえるでしょう。だからこそ、そこに不動産会社が介在する意味があるのです。もちろん、依頼する不動産会社が信頼できる会社であるというのが前提です。

あなたが自分だったらこうする、こうしてみたい、という気持ちを依頼する不動産会社に伝えておくのが大切なのです。

今回ご案内させていただいた方は、無事契約になりましたが、事前に、貸主さんからは、

・収入が低い
・親御さんが遠方に在住

ということで保証会社の利用を必須にしてほしい、という連絡がきていました。幸い入居希望者さんは素直に納得してくれましたが、もし、「余分な初期費用を払えない」、という方だったとしたらこの部屋には絶対に決まらなかったことでしょう。


現在「家賃等の取り立て行為の規制に関する法律」が参議院で審議されています。(法律の具体的内容についてはこちらをご覧ください。PDFが開きます。)施行まではまだしばらく時間がありますが、この法律施行後、滞納保証会社の審査基準が厳しくなるのは明らかです。

そうなると、本来入居してもらいたいはずの優良入居者まで審査に通らなくなってしまう可能性すらあります。

今からの時代大切なのは、入居審査の基本に立ち返ることです。電話や面談などで入居希望者と直接会話し、収入面の確認だけではなく、転居理由などについても確認する作業が必要になります。また、入居希望者や連帯保証人の人柄などまで判断することが大事なのです。さらに、契約形態を定期借家契約とし、貸主側に有利な賃貸借契約とすることがリスク回避になります。

入居審査について基本に立ち返り、定期借家契約を組み合わせることが今の状況ではベストの方法といえるのです。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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