長期的な運用において相場暴落時のヘッジ効果に期待
相場暴落時の強い味方に!
こうした順調な時は、例えば米国の一般的な株式や株式投資信託を購入すれば値上がりするケースが多いといえるため、株式投資に魅力を感じる人も多いことでしょう。
それでは、株価が暴落すると思われる時もしくは実際に暴落した時には皆さんどう対処すればよいでしょうか。一つ目の方法として、株価が暴落することが予想できるならば、その前に株式や株式投資信託を売却することが望ましいといえます。しかしながら通常、暴落を誰もが予想するのは難しいですよね。
二つ目の方法として、信用取引や先物取引を活用し下落した場合に備える、インバース(ベア)型投資信託を購入するといった方法があります。この方法の場合には、暴落に対応は可能ですが、短期的な売買に向いているといえます。
長期的な運用において、相場の下落が起きた時に備えて運用を行いたいといったニーズには上記の方法では対応が難しいわけですが、これに対応できる投資信託が楽天証券にて2014年4月に発売されました。今回はこの投資信託をご紹介します。
暴落時だけではなく平常時にも収益をあげられるように設計
楽天証券で販売されている「楽天ボラティリティ・ファンド(愛称:楽天ボルティ)」は、ボラティリティ関連資産に投資することで、長期的収益を目指す投資信託です。主にVIX(恐怖指数)先物を活用したボラティリティ関連指数に連動する投資商品に投資が行われるものになります。特徴は3つあります。1つ目が、株式等の一般的リスク資産が暴落した時にヘッジすることが期待できます。通常、市場が急落する時や不確実性が増すときにVIX指数は急上昇します。VIX指数は、投資家心理を示す数値として利用されており、S&P500を対象とするオプションの値動きをもとに算出・公表されているものになります。このVIXの先物指数を利用することで、相場暴落時における資産の目減りをヘッジします。
2つ目が、平常時においても収益獲得が目指せることです。相場下落時にはVIX先物の実質的な「買い持ち」を行い、平常時にはVIX先物の実質的「売り持ち」を行うことで、相場の方向性に関わらず収益獲得を目指すことができます。VIX指数が上昇する(相場は下落)時は買い持ちにより値上がりが見込め、平常時はVIX指数がじわじわ下落する傾向をとらえ、売り持ちにより値上がりを見込むように設計されているのです。
3つ目が、売り持ちと買い持ちの切替を機動的に行い、市場暴落時のヘッジ効果と平常時の収益獲得の両立を目指すこと。この結果、長期的な運用においても、いずれの場合でも対応可能となりますので、短期だけではなく長期的に見ても収益が確保できる見込みといえます。
もちろん、どんな場合でも値上がりするというわけではなく、相場の異変の起こり始めや短期間で異変が収束した場合などにおいては、当ファンドの基準価額は下落しやすいといった傾向にあるため、その点は把握しておきましょう。
購入時手数料はインターネットを通じた申込みであれば無料となっています。なお、信託報酬が一般的な投資信託とは異なります。信託報酬の年間でかかる基本報酬は純資産総額に対し年1.0044%(税抜0.93%)なのですが、これに成功報酬額が加算されます。成功報酬額は毎営業日に、当該営業日の基準価額(成功報酬控除前)がその時点のハイ・ウォーターマークを超える場合に、その超過額に10.8%(税抜10.0%)を乗じた金額になります。簡単にいえば、毎営業日得た収益のおよそ10%が成功報酬として差し引かれることになります。信託財産留保額は換金申込受付日の翌営業日の基準価額の0.5%です。
コストという面からは、多少難点がつきますが、相場の下落時も平常時にも収益獲得可能といった点を考慮すれば、「楽天ボラティリティ・ファンド(愛称:楽天ボルティ)」は運用対象の一部に加えておくこともメリットはあるといえます。今後どこかで大きな調整があるかもしれないとお考えの方は、一度ご検討されるとよいかもしれません。