シンガポール/シンガポールのグルメ・レストラン・屋台

シンガポール伝統料理界の革命児「Candlenut」

シンガポールの伝統、プラナカン料理(ニョニャ料理)に革新的なアレンジを加えたメニューが楽しめる店。ニューヨークで行われた食のイベントに招聘される等、その味はお墨付き。プラナカンの一家に生まれ、伝統を守りつつ新しい料理を作りたいというマルコム・リーヘッドシェフによる料理は繊細。ここでしか味わえない、オリジナルのプラナカン料理をぜひ。

仲山 今日子

執筆者:仲山 今日子

シンガポールガイド

古くて新しいモダン・プラナカンレストラン「Candlenut」

解説

新しく生まれ変わった伝統料理


解説

ガラス張りで明るい雰囲気

シンガポールの伝統、プラナカン料理をモダンにアレンジしたレストランとして、今シンガポールで話題の「Candlenut」。こちらはなんと、29歳という若さの、Malcolm Lee(マルコム・リー)ヘッドシェフがオーナーも務めるお店。マルコム氏は、シンガポール政府が主導する食のフェアでデモンストレーションを行ったり、ニューヨークのイベントに招聘される等、様々な場所に引っ張りだこ。新しい時代のプラナカン料理の担い手として注目を浴びています。

解説

シックでくつろいだ雰囲気の店内

場所は、MRTの Outram Park 駅から徒歩すぐ、New Bridge Road という大通りに面していて、アクセスも便利。スタイリッシュなガラス張りのレストランです。中に入ると、暖かみのある、シックな色合いの木を多用した店内。カトラリーがコップに入れてあったりと、お洒落でありながらも、どこかくつろいだ雰囲気が感じられます。

解説

これがキャンドルナッツ

ちなみに、「Candlenut (キャンドルナッツ)」とは、その名の通り、プラナカンの人たちがろうそくを作る為に使っていた木の実のこと。それだけではなく、炒め物や、カレーにコクを出す為等、様々な料理に使われて来た歴史があるのだとか。

 
解説

ほんのり薔薇の香りがします

ドリンクは、ライスミルク(5シンガポールドル)をオーダー。夜でしたら、世界の様々なクラフトビール(日本のクラフトビールもあります)からオーダーするのも良さそうです。このライスミルクは、薔薇の香りがする、ほんのりと甘いもの。食事の邪魔にならない、ちょうど良い甘さです。上にも薔薇の花があしらわれていて、雰囲気も素敵です。

上品にアレンジされたプラナカン料理の数々

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南国ならではの四角豆のサラダ

解説

小さなカップに入った前菜です

最初は、クエパイティー(8シンガポールドル)から。小さなカップに甘辛く炒めたターニップ、海老と豚バラ肉が入っています。最後にみたらし団子のみたらしの部分のような味わいの、グラ・メラカ(パームシュガー)のソースがとろりと掛けてあり、驚くほど薄くてカリカリのカップとの対照が楽しい一口前菜です。

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シャキシャキの食感と甘酸っぱさが嬉しい

続いては、熱帯のシンガポールならではの食材、ウイングビーン(四角豆)を使ったサラダ(12シンガポールドル)。絶妙に火入れがされたウイングビーンは、とても瑞々しく、シャキシャキした歯触り。ライムを使った甘酸っぱいソースとミントの葉がさわやかで、暑いシンガポールでの疲れを癒してくれるような味わいです。海老の優しい食感、カリカリした小魚、カシューナッツのコクもうれしい一品です。

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ホロホロに煮込まれたスパイシーな牛肉

プラナカン料理の定番、ビーフレンダン(牛肉をココナッツミルクとスパイスで煮込んだもの、18シンガポールドル)カフィライムとレモングラスの香りが豊かで、牛肉もホロホロに煮込まれています。ソースの舌触りもよく、丁寧な仕事ぶりがうかがえます。スパイシーな味付けなので、ご飯も進みます。
辛いものが苦手な方にお勧めしたいのが、ニョニャ風の野菜と春雨の五目炒め、チャプチャイ(12シンガポールドル)。濃厚な海老の出汁が効いていて、その旨味をたっぷり吸った茸やキャベツ、春雨はとても上品でリッチな味わいです。

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サンバルが効いた海老が食欲をそそる

海老とビタービーンの辛みそ炒め、サンバルペタイプラウン(18シンガポールドル)。ほろ苦さの中に濃厚なコクと旨味のあるビタービーンと新鮮でプリプリの海老、上に乗ったフライドシャロットのカリカリ感がいきています。プラナカンの人たちにとって、各家庭で手作りされるサンバルはとても大切なもの。辛みの中に海老味噌の味がいきた、風味豊かなサンバルでした。

解説

伝統料理をアレンジ

そして、オリジナルのカニのココナッツカレー(24シンガポールドル)です。伝統的なニョニャ料理のカレーに使う、海老とパイナップルの代わりにほぐしたワタリガニの身が。クリーミーで濃厚な味わいに仕上げてあります。カフィライムとレモングラスの香りに、ほんのりライムの酸味が効いていて、濃厚さの中にもさっぱりとした味わいです。たっぷり入ったカニの身は、とても丁寧に細かくほぐされていて、滑らかな舌触り。手間を惜しまず、丁寧に作ったカレーという印象です。

解説

ブアクルアの煮込みには独特の奥深い味わいが

そして、プラナカン料理で忘れてはならないのが、ブアクルア(ブラックナッツ)の煮込みです。5日にわたり、昼夜をかけてじっくりと水にさらして毒を抜いたあと、中の実を取り出してソースにしたもの。
ブアクルアはどこかたまり醤油を思わせるコクがあり、良質のカカオ豆のような、独特の木の香りがあります。程よい火入れのイカは、しっとりとした食感で新しい美味しさでした。

シンガポール人もびっくり! 驚きのデザート

解説

驚きの美味しさのブアクルアのアイスクリーム


そして、シェフのマルコム氏、何とこのブアクルアを使ったアイスクリームを作ってしまったのです!(14シンガポールドル/ここからの写真はフルポーションのものです)。シンガポール中を探しても、ここでしか食べられない、彼の創造力が生きたデザートです。シンガポール政府主催のイベントでも提供され、「こんなデザート初めて」とシンガポール中を驚かせた品。ガイドの一番のお勧めです!

ヴァローナチョコレートとブアクルアで作ったアイスクリームの下には、塩キャラメルとチョコレートのクランブルとチリを合わせたもの。上にはエスプーマで作った温かいチョコレートソース。木の香りのブアクルアと、チョコレートの香り高さが良く合い、チリと塩のアクセントが効いています。口に運ぶと、チョココーティングされたパチパチキャンディーが弾けます。アイスクリームとソースの温度の違い、滑らかさとパチパチキャンディー、クランブルの食感の対比、甘みと塩気、辛みのバランス……ぜひ、お試しください!


解説

「プラナカンの伝統を守りつつ新しい料理を」と語るMalcolmシェフ

こちらのお料理で一番感じるのは、繊細さと丁寧さ。
それもそのはず、マルコム氏は、シンガポール人として初めて、ミーレガイドから優秀なシェフとして奨学金を受けて学んだという経歴の持ち主。話を聞くと、元々はフレンチやイタリアンのファインダイニングを作るのが夢だったそうですが、自分のルーツでもあるプラナカンの伝統料理が廃れ始めている事に危機感を抱き、プラナカン料理のレストランを開く事を決めたとか。
伝統を大切に受け継ぎつつ繰り広げられる、新しいプラナカン料理をぜひお試しください!


<DATA>
■Candlenut
営業時間:ランチ 12:00~14:30 (平日のみ)、ディナー 18:00~22:00 (日曜・祝日休)
住所:331 New Bridge Road, #01-03, Singapore 088764
TEL:+65 8121 4107
URL: http://www.candlenut.com.sg/
アクセス:MRTアウトラムパーク駅から徒歩3分程
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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