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2014年上半期の投資信託の運用成績は?

2014年上半期が終わりました。主力株では日本やロシア、上海などが昨年末比でマイナスの騰落率となっていますが、概ねプラスと堅調に推移しています。指数ベースでは、アルゼンチンの60%強が際立っていますが、二桁の以上の上昇率となった国もたくさんあります。資金の流出入を含め2014年上半期の投信概況を見てみましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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騰落率上位はインド株ファンドが独占

2014年上半期(1月~6月)、主要国の株価指数は概ねプラスで推移しましたが、日本を始めとする一部の国は残念ながらマイナスとなってしまいました。日本株は、新興市場が5月下旬から大幅に巻き返したものの、残念ながら上半期の騰落率上位に入るファンドはありませんでした。全体、及び投資分類別の騰落率を見てみることにしましょう。

DC(確定拠出年金)専用、SMA(ラップ口座)専用ファンドを除く、純資産総額10億円以上の全ファンドの中の上半期第1位の投資信託は、騰落率48.09%、HSBC投信が運用する「HSBCインド・インフラ株式オープン」でした。インド株を投資対象とする投資信託は、騰落率ランキング第9位まで独占している状況です。

インドは2014年5月の総選挙で10年振りに政権交代が起こったことから、選挙前から政権交代による改革を期待して株価が上昇。その上昇の波をインド株ファンドが捉えた結果です。7月にはインドネシアで、10月にはブラジルでも総選挙が行われた(行われる)ことから、下期はこれらの国の株式で運用されるファンドの運用成績が注目されそうです。 

世界株と全体の騰落率ランキングは、結果として同じになることから、他の投資分類別の騰落率、日本株から見て行くと、第1位はSBIアセットマネジメントが運用する「SBI中小型割安成長株ファンド」でした。騰落率は17.99%と二桁を超えていることから、日経平均株価などの株式指数を大幅に上回っているものの、J-REITを投資対象とする投資信託の騰落率は下回ってしまいました。

J-REITを投資対象とする投資信託では、東京海上アセットマネジメントが運用する「東京海上J-REIT投信(通貨選択)ブラジルレアルコース(毎月分配型)」の騰落率が、20.04%と20%を上回っているのです。正確には、通貨選択部分の収益がプラスされているため、純粋なJ-REITファンドとは言えないかもしれませんが。

外国債券は、エマージン債券、あるいはハイ・イールド債券を投資対象とし、かつ通貨選択型のブラジルレアル型が騰落率の上位を賑わしています。外国債券の第1位は、騰落率18.91%の日興アセットマネジメントが運用する「日興ピムコ・ハイインカム・ソブリンファンド毎月分配型(対米ドル・ブラジルレアルコース)」でした。

国内債券は、物価連動国債ファンドが上位を独占。日本銀行による異次元緩和により、消費者物価指数が上昇した影響がストレートに運用成績に響いたようです。騰落率4.57%の大和証券投資信託委託が運用する「日本物価連動国債ファンド」が第1位です。意外と好成績だったのは、消費税引き上げによる物価の大幅な上昇によるものだと考えられます。

資金流入額上位は全て毎月分配型

2014年6月末の投資信託の残高は、約83兆5000億円と、これまで最高だったリーマン・ショック前の2007年10月末の82兆1518億円を上回り、過去最高となりました。4月には国際投信投資顧問が運用する「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」が、純資産総額第1位の座をフィデリティ投信の「フィデリティUSハイ・イールド・ファンド」に譲ったという象徴的な出来事がありましたが、2007年当時のような巨大ファンドは見当たらず、さまざまなファンドに資金の流入があったようです。

2014年上半期の資金流入額トップは、約4885億円の資金流入があった野村アセットマネジメントが運用する「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(通貨選択型)米ドルコース(毎月分配型)」です。第2位の「フィデリティUSハイ・イールド・ファンド」の約3011億円を約1874億円上回っています。

純資産総額で言えば、「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(通貨選択型)米ドルコース(毎月分配型)」は約9249億円、「フィデリティUSハイ・イールド・ファンド」が約1兆3115億円です。その差は約3866億円ですが、2014年上半期の状態が続いたとすれば、2015年中に「フィデリティUSハイ・イールド・ファンド」が純資産総額第1位の座を明け渡すかもしれません。

純資産総額第2位の新光投信が運用する「新光US-REITオープンは、上半期約1638億円の資金流入です。純資産総額は約1兆2280億円であることから、「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(通貨選択型)米ドルコース(毎月分配型)」とは約3013億円の差。上半期の状況が続けば、純資産総額第2位の座を明け渡すか可能性は大です。

資金流出トップはグロソブ

2014年上半期の資金流出額トップは、国際投信投資顧問が運用する「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」で、流出額は約2108億円と、唯一2000億円を超えていました。2014年1月の決算期から、1万口当たりの分配金を35円から20円に引き下げたこと。投資家がリスクを取っても高い分配金を得ようという積極的な投資姿勢に転じたことがその要因でしょう。

第2位は、大和証券投資信託委託が運用する「ブラジル・ボンド・オープン」の約1285億円の流出です。ブラジル・ボンド・オープンも、2013年11月決算期から分配金を1万口あたり120円から90円に引き下げたことが要因のようです。同ファンドは、分配金を減額しても1万口当たり90円の分配金を支払っているにもかかわらず、資金流出が止まっていません。

分配金の多寡よりも、分配金の減額が毎月分配金投資信託にとっては資金流出に大きく影響すると言えるでしょう。2014年下半期はどんな投資信託が好成績をあげ、また資金の流出入にはどんな投資信託が顔を出すのか、はたまた純資産総額のランキングに変動があるのか興味はつきません。
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