光熱費が大幅に上昇しています
東日本大震災以降、原発の停止や燃料費の高騰を受けて一般家庭向けの電気料金が3~4割上昇したと言われています。
ご承知の通り、管理組合の収益は、管理費や駐車場使用料等の固定収入で成り立っていますから、このような外部要因にもとづくコストの上昇はその収支を悪化させ、最終的には管理費等の値上げを余儀なくされる可能性も出てきます。
このようなリスクを避けるために、管理組合ならではの光熱費削減への取組み方についてご案内します。
LED照明の導入
光熱費を下げる手段のひとつとして、今や定番の商品がLED照明です。LEDの導入メリットは、次の2つです。
(1) 消費電力が少ない(白熱球の1/10、蛍光灯の1/2)
(2) 消費寿命が長い (白熱球の40倍、蛍光灯の3~4倍)
この特性による光熱費の削減効果で、当初のLED照明の導入コストを数年間で回収することができ、それ以降は管球の寿命が尽きるまで、管理組合の事業収支にプラスに働きます。
一般的に、投資回収に要する期間は3年から4年程度(※蛍光灯の場合。また、契約電力の単価や1日の点灯時間によっても効果は異なる。)と言われています。
ただし、LEDに切り替える際に気をつけなければならないことが3つあります。
(1) 建築基準法上の問題から、非常灯・誘導灯はLEDへの切り替えができない。
(2) 蛍光灯タイプの場合には、安全性と省エネ効果の観点から安定器のバイパス工事を実施する。(※安定器自体も電力消費しているため。)
(3) 密閉型器具タイプの場合には、密閉器具対応型の管球を選ぶ。(※LEDは熱に弱いため)
これに加えて留意しなければならないのが、照明器具の交換時期です。
通常、照明器具の寿命は20年前後と考えられますが、LEDの導入を急ぐあまり、照明器具の交換まで着手するのは慎重に考えるべきです。
なぜなら、修繕計画よりも早期に器具交換を行えば、それだけライフサイクルコストが上昇することになるからです。
今では、器具交換を伴わずに切り替えが可能なLED照明も少なからず市場に出ています。
ところが、LEDへの切り替え工事で専門業者から見積もりを取ろうとすると、自身の売上げを最大化しようと、照明器具の交換と一体化した工事を提案してくることが少なくありません。
マンション管理士としては、たとえ電気の専門ではなくとも以上のような最低限の知識は持ち合わせておく必要があるでしょう。
次ページでは、電子ブレーカーの導入についてご紹介します。