はじめに
行政書士法が改正されて(平成26年6月27日公布)、行政不服審査法の代理権が付与されることになりました。これは大きな改正です。そこで、今回は行政書士法の改正によって今後行政書士業務がどうなるか考えてみたいと思います。行政書士法改正のあらまし
これまで行政書士は自分が依頼を受けた許認可申請の結果について、争うことはできませんでした。しかし、今回の改正により、一定の行政書士(特定行政書士)が本人に代わって許認可申請の結果について、争うことができるようになりました。例えば、行政書士が建設業許可の依頼を受けたとしましょう。行政書士は適法に許認可申請をしたのですが、許認可庁は不許可の判断をしました。この行政書士が一定の要件を満たした特定行政書士である場合、依頼者に代わって不服審査という手続きで、不許可について争うことができます。不服審査手続きは裁判所ではなく行政庁で行われます。行政書士の主張が認められれば、許可を得られる可能性が出てくるのです。
今回の改正は、行政書士に新たな権限を与えるものであり、行政書士業務が拡大したといえます。
能力担保の課題
この改正により、行政書士は、行政庁を舞台として、裁判類似の手続きを行います。しかし、行政書士試験科目には、裁判手続きに関する基本法とも言える民事訴訟法がありません。また、不服審査手続きに必要なその他の知識も行政書士試験では十分に出題されていません。この改正で行政書士の役割がより重要になりました。
「特定行政書士」に関する研修内容や試験について現段階では明確になっていませんが、他の制度とのバランスから、数か月間の研修の上で、試験が課されると思います。