行政書士試験/行政書士とは

平成26年 行政書士法改正 今後の業務への影響は?(2ページ目)

行政書士法が改正されて行政不服審査法の代理権が付与されることになりました。そこで、今回は行政書士法の改正によって今後行政書士業務がどうなるか考えてみたいと思います。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


業務にあたえる影響は

では今回の改正は行政書士業務にどのような影響を与えるでしょうか。

この改正により行政書士の業務が倍増するというような過度な期待はできないと思います。以下、考えられる理由を3点ほど挙げたいと思います。

・今回の改正は行政書士が担当した許認可申請の案件のみ代理権が与えられるとされており、不服審査手続きの代理権だけの依頼を受けることができないので、依頼者が限定されること
・一般の許認可申請において、不許可処分は圧倒的に少数であり、不服審査手続きが問題となる場面が極めて少ないこと
・特別の許認可申請においては、不許可処分も稀ではないが、法律で不服申請手続きができないと定められていることもあり、そもそも代理権の行使ができないこと

もちろん、これまでできなかったことができるようになったのですから、行政書士の仕事量は全体として増加します。また、許認可申請における行政庁との折衝がやりやすくなると思います。

今回の改正は行政書士の業務に与えるプラスの影響ははかりしれません。ただ、仕事が増えるかと聞かれると、限定的であり、過度な期待はできないと思うのです。

依頼者への対応についての注意点

行政書士が許認可申請を受任して、申請の結果が不許可ということはまれです。それは、不許可になりそうな案件は受任前に調査をしたり、行政と事前相談をした上で受任することが多いからです。

ですから、行政書士が受任して不許可というのは、行政に問題がある場合があります。そのようなときに代理権を使って争うのです。しかし、依頼者がそれを理解してくれるか不安です。

おそらく依頼者は行政書士の申請に問題があったとして、責任追及をしてくるように思います。依頼者と行政書士がもめてしまえば、折角の代理権も無意味になってしまいます。

このような依頼者とのトラブルを回避するためにも、依頼者に対して、時間をかけて業務内容や不服審査手続きの説明が必要だと思います。この説明こそが、法改正によって得られた代理権で仕事を増やすポイントになるはずです。

最後に

法改正が行われていくら権限が拡大したとしても、報酬を支払ってくれるのは依頼者です。行政書士は特定行政書士になるため、様々な法律の勉強をせまられることになるでしょう。しかし、同時に、依頼者に対する説明能力も高めなければ仕事の増加に結びつかず、業務拡大にも結びつかないと思います。
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