介護支援専門員(ケアマネジャー)/ケアマネージャー(介護支援専門員)とは

ケアマネージャーの更新研修を35時間増加へ

厚生労働省の情報によると、平成28年以降、ケアマネージャーの研修制度を見直す内容が記載されています。ケアマネージャー不要論が出る中での研修時間増は、矛盾を感じる部分でもありますが、それだけケアマネージャーに対し、高い専門性が求められていることの証であるともいえます。研修の変更により、どのような影響が出てくるのか見ていきましょう。

執筆者:鈴木 康修

ケアマネージャーの研修は試験に合格した時の実務研修、資格更新時の更新(専門)研修があります。更新研修は平成18年4月から始まったもので、資格を取得してから実務に就く場合など、5年ごとの研修を受けなければなりません。ケアマネージャー資格は国家資格ではなく、都道府県が管理する公的な資格になるので、各種研修も都道府県が実施しています。

介護支援専門員(ケアマネージャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会「介護保険制度の見直しに関する意見」を踏まえ、ケアマネージャーや主任ケアマネージャーの各種研修についても変更されることとなりました。変更時期は平成28年度からですので、実施までには少し時間がありますが、現職のケアマネージャーであっても、今後、更新研修時には研修内容が変更となりますので、内容は理解しておいた方がよいでしょう。

変更が予定されている4つの研修

実務研修や専門研修も変更される

実務研修や専門研修も変更される

変更となるのはケアマネージャー実務研修と専門研修、主任ケアマネージャーの研修です。これは、現職のケアマネージャー以外に介護支援専門員実務研修受講試験の合格者も関係してきますので、ケアマネージャー全体の問題となっています。

実務研修の変更は、平成28年度以降の試験合格者を対象としています。また、主任ケアマネージャー実務者を対象とした更新研修も追加する予定です。また、これまでは実施されなかった研修修了時の修了評価を実施します。受講者の評価はそのまま習熟度の評価につながりますので、研修内容を把握しておかないと低評価になってしまいます。

■変更が予定されている研修

・介護支援専門員実務研修(研修時間が44時間から87時間に増加)
・介護支援専門員専門研修(53時間から88時間に増加)
・主任介護支援専門員研修(64時間から70時間に増加)
・主任介護支援専門員更新研修(変更予定)

実務研修の変更点

介護支援専門員実務研修(以下、実務研修と言います。)は44時間から87時間と43時間増えました。これは、任意研修の「実務従事者基礎研修(33時間)」が統合されたこともあるので実質的には10時間増加した計算になります。任意研修を実務研修に組み込んだことで、試験合格者は従来の任意研修も受けることになり、さらに専門性を向上させる狙いがあると言えます。

研修時間増加により新たな研修項目が増えましたが、注目すべき内容が2点あります。それは「人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理」と「ケアマネジメントの展開」です。権利擁護についてはケアマネージャーの倫理や成年後見制度についてが盛り込まれています。これまで権利擁護事業は地域包括支援センターや社会福祉協議会などが担ってきましたので、今後はケアマネージャー業務にも期待されてきていると感じます。

ケアマネジメントの展開」項目については、主に事例を取り上げており、研修は座学ではなく演習で行うと予想されます。糖尿病や心疾患、腎臓病などの「内臓の機能不全」に関する事例や、「看取り」に関する事例を扱うなど、医療的な知識が乏しいと指摘されたケアマネージャーを補完する目的も感じられます。

次のページでは、専門研修と主任ケアマネージャー研修について紹介します。

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