介護支援専門員(ケアマネージャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会「介護保険制度の見直しに関する意見」を踏まえ、ケアマネージャーや主任ケアマネージャーの各種研修についても変更されることとなりました。変更時期は平成28年度からですので、実施までには少し時間がありますが、現職のケアマネージャーであっても、今後、更新研修時には研修内容が変更となりますので、内容は理解しておいた方がよいでしょう。
変更が予定されている4つの研修
実務研修や専門研修も変更される
実務研修の変更は、平成28年度以降の試験合格者を対象としています。また、主任ケアマネージャー実務者を対象とした更新研修も追加する予定です。また、これまでは実施されなかった研修修了時の修了評価を実施します。受講者の評価はそのまま習熟度の評価につながりますので、研修内容を把握しておかないと低評価になってしまいます。
■変更が予定されている研修
・介護支援専門員実務研修(研修時間が44時間から87時間に増加)
・介護支援専門員専門研修(53時間から88時間に増加)
・主任介護支援専門員研修(64時間から70時間に増加)
・主任介護支援専門員更新研修(変更予定)
実務研修の変更点
介護支援専門員実務研修(以下、実務研修と言います。)は44時間から87時間と43時間増えました。これは、任意研修の「実務従事者基礎研修(33時間)」が統合されたこともあるので実質的には10時間増加した計算になります。任意研修を実務研修に組み込んだことで、試験合格者は従来の任意研修も受けることになり、さらに専門性を向上させる狙いがあると言えます。研修時間増加により新たな研修項目が増えましたが、注目すべき内容が2点あります。それは「人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理」と「ケアマネジメントの展開」です。権利擁護についてはケアマネージャーの倫理や成年後見制度についてが盛り込まれています。これまで権利擁護事業は地域包括支援センターや社会福祉協議会などが担ってきましたので、今後はケアマネージャー業務にも期待されてきていると感じます。
「ケアマネジメントの展開」項目については、主に事例を取り上げており、研修は座学ではなく演習で行うと予想されます。糖尿病や心疾患、腎臓病などの「内臓の機能不全」に関する事例や、「看取り」に関する事例を扱うなど、医療的な知識が乏しいと指摘されたケアマネージャーを補完する目的も感じられます。
次のページでは、専門研修と主任ケアマネージャー研修について紹介します。