明らかに”出なさそうな人”と一緒にやりたかった
――前回の『持ち主、登場』はナイロン100℃のside sessionとしての公演でしたが、今回「ジョンソン&ジャクソン」として新作を上演する事になった経緯を教えて下さい。
大倉孝二
前回の『持ち主、登場』も最初から劇団ありきの企画だった訳ではなく、色々な事情があって”番外公演としてやらせて欲しい”とお願いして実現したんですね。それで幕を開けてみたら思いの外沢山のお客さんに観て頂けたり、各所から”これは続けていった方がいいんじゃないか”的な言葉を掛けて頂いたりして、じゃあ思い切ってユニットを……と、今回改めて「ジョンソン&ジャクソン」を立ち上げました。
――大倉さんは脚本にも関わっていらっしゃいますが、ブルー&スカイさんとお二人でどうやってあのナンセンスな世界を書き上げていったのか気になります。
大倉
大体会議室や喫茶店で2人で顔を合わせて色々話をしつつ、何となくシチュエーション等が固まってきた所で「じゃあ、僕こっち書くわ。」「あ、じゃあ僕はあっちを。」みたいな感じでそれぞれ書いてましたね。まあ地味な作業ですよ(笑)。
――今回、演劇界のチームリーダーのお一人・池田成志さんの参戦も話題です。
大倉
前回もそうなんですけど、僕達は明らかに”出そうだな”って予測できる人に頼んでしまう所があるので、そういう予想を裏切るというか、敢えて”出そうじゃない人”とご一緒できたらと思って池田さんにお願いしました。
――ただ安心して任せられるだけではなく、新しい風や違う空気を吹き込んでくれそうな?
池田成志
いやいや、そう新しくもないけどね(笑)。
大倉
でも明らかに”出そうもない人”じゃないですか。そこが新しいんですよ。
――お二人の直近のご共演はシアターコクーンの『祈りと怪物 ~ウィルヴィルの三姉妹~ KERAバージョン』(2012年)ですが、普段から一緒に飲んだり遊んだり、みたいな交流はあるんでしょうか?
池田
ほぼ、ないですね……と言うか誰とでもそうですよ。一緒に芝居をしている俳優仲間に「じゃあ飲むか」って改めて声を掛ける事……うーん、ないなあ。同じ作品に関わっていて稽古中や本番中だったり、芝居を観に行って偶然劇場で会ったらその流れで……なんて機会もありますけどね。大倉もそうじゃない?
大倉
いや、普段も会うのってホントに限られた人だけですよね。
――『窓に映るエレジー』の台本を読ませて頂き、お稽古も拝見したのですが、ちょっとした間合いや呼吸でガラっと見え方が変わる作品だと思いました。特にコメディは繰り返しお稽古している内に新鮮さがなくなったり慣れていったりしてしまいがちですがその辺りは如何でしょう。
池田
慣れ、ありますね。ぶっちゃけ稽古でも何度もやりたくないですよ(笑)。ただ本番の舞台ではお客様は毎回違いますし、稽古場でも見学に来る人たちの空気感は毎回違う訳で、それを捉えながら新鮮な部分が崩れないよう意識して稽古をしています。同じスタッフの前で返していくとウケなくなる事もありますがそこは気にせず、ちゃんと場を成立させるという事をまずは大切に。今の段階で「何が何でもウケてやろう、笑いを取ってやろう」って変に頑張るとどこかイヤらしくなっちゃうんですよね。
――今回はナンセンスな場面の積み重ねがありつつ、ちゃんと繋がって展開していくストーリーもあるんですよね。
大倉
そうですね、僕は色々な役をその都度演じていきますが、成志さんや村岡(希美)は最初からラストまで1つの役を演じていくという構成になってます。
池田
僕は”旅の男”を演じるんですが、この男、ちょっと家庭環境が異常でしてね、その家族の離散と修復みたいな話も縦糸にあって……そういう状況の中で色々なズレが生じていくというか……あの……でもそんなに難しい感じじゃなくて、その場その場の気持ちを大事に……ハイ。
大倉
いや、もう今回は本当に深味のある世界を作れたと思っています!(池田さん爆笑)。
――かなりオトナ濃度の高いお稽古場ですよね。休憩時間も凄く静かでビックリしました。
大倉
いやあ、全く華やぎやキャッキャした感じのない稽古場ですね。基本シーンとしてます(笑)。ただ今日はブルー&スカイが誕生日だったのでサプライズ的な事はやりましたよ。
池田
そうそう、ケーキが登場したりしてね(スマホの写真を見せながら)……でもコレ、サプライズっていうより単に皆で面白がってる感じだよなあ(笑)。
――ブルー&スカイさんの目が若干泳いでる様子が素敵です。
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