お金について騙される人は知ったかぶりをする
毎年必ず1件は出てくるのが詐欺的金融商品です。安全かつ高利回りをうたうようなものは当然疑わしいわけですが、複雑な仕組みを述べられて、なんとなくいい感じに思うこともあります。悪質な商品は運用の実態がないので、高利回りどころか元本すらほとんど戻らないことがあります。また、ちゃんとした金融機関であってもやけに複雑な条件の金融商品を取り扱っていることがあり、初心者に営業がくることもあります。値下がりすることは可能性として示されているもののよく分からないまま、ついつい値上がりの可能性を吹き込まれて買い込んでしまいます。えてして買った直後にがくんと値が下がります。
いずれのパターンにおいても共通する要素は「もうかるような気がして、買うことをあなたが決めている」ということです。
どんなにひどい営業であろうと、最後のハンコを押したり、投資を行うお金を入金したりするのは、他の誰でもなくあなたです。
そしてそんなあなたの大失敗の原因は「知ったかぶり」をしてしまったことなのです。
賢くあろうとして、背伸びをして「賢い振り」をすることが、お金の上では損になる、という話を今回はしてみます。
知らないことを知らないというのは難しい
私たちは大人になって社会に出ると、「知らない」「分からない」を口に出すことが難しくなります。仕事において「知らない」「分からない」を言えるのはほとんど禁句です。せいぜい「分からない」を言えるのは新人や異動したてのときだけで、取引先との会話で「知らない」「分からない」を口にするとあなたの専門性が疑われてしまいます(逆に相手を持ち上げる意味で「それは知りませんでした。さすがは社長」なんていうテクニックもありますが)。職場内でも、自分の仕事について知らないことがないことがベテランの証ともいえます。
そうなると、年を取るほど「知らない」を口にすることは難しくなってくる、ということです。皆さんも自分が「それは知らない(分からないな)。教えて」と誰かに質問した記憶はあまりないのではないでしょうか。
典型的な例としては、定年退職者が銀行の人に投資信託でのリスク運用を提案されたときなどはとても危ないタイミングです。確かに、なんとなく分かったような気分になって買ったものの、分からないことをちゃんと明確にしてリスク商品を買わなかったため、大きく損をしたときの理由も分からないし、対応もできないということになるのです。これはいけません。