テクノポップ/アーティストインタヴュー

『ソリッドレコード夢のアルバム』復刻(5ページ目)

ソリッドレコードからの復刻、最後の一枚となる『夢のアルバム』は、歌謡曲スターとニューウェイヴ系アーティストの共演。単なる企画ものではない、和製レアグルーヴの先駆けとも言えるこの試みについて、再びサエキけんぞうさんに登場いただき、このアルバムが出来上がった背景を語っていただきました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

上野耕路にバリー・ホワイト?

ガイド:
上野耕路さんが作曲した不思議な曲「アニマ・プリズミィ」で、サエキさんは、PPS (Pearl Pizzicato Special) として当時のPizzicato Fiveのメンバーと歌っています。PPSはJJSを意識したとありますが、JJSとはJohnny's Junior Specialのことですか?誰の発想だったんですか?

サエキ:
もちろん高さんのアイデアだったと思いますし、疑いなくジャニーズへのトリビュートです。回転を速めて子供風の声にするというのも何か元ネタがありそうですが、今はわかりません。編曲は、バリー・ホワイト(70年代ディスコ)を意識していたはず。上野耕路にバリー・ホワイトをやらせるなんて何という!でも、上野氏もたいそう楽しんでやっていたことを思い出します。もう、二度と起こりえない、凄いアイデアのスパークです。

詞はすべて歌手に合わせて

ガイド:
一般リスナーには「どうにもとまらない」のイメージが強い山本リンダさんの「バタフライ」では、Wall of Soundに仕上げたバラードになっていますね。これは山本リンダさんが歌う前提で作詞されたのですか?

サエキ:
詞はすべて歌手に合わせて書いたつもりです。山本リンダさんが蝶の格好したら凄いでしょう?しかし本来リンダさんがあっているロック歌謡「ドゥビドゥビ」は泉アキさんが歌うというところに、この盤の妙があるんだと思います。少しずつズラしている部分がある。そこが、企画が安直にならなかったポイントでしょう。

まだまだ話足りないことがある

ガイド:
リスナーとして感じましたが、『夢のアルバム』は風化しないエヴァーグリーンな作品です。個性溢れる人たちが集まって作られたこの作品、まだまだ語ってもらえそうな事がありそうですね。

サエキ:
現場の話とかもありますよ。奥村チヨさんが異常にさわやかだったが、やはり色っぽかったこととか。まだまだ話し足りない。また、曲の元ネタ話は、この10倍はあると思われます。それは高さんが口を開かないとわかりません。そうした話を聴きたくなるための、イントロデューシングのガイドラインを、今回僕がここでしました。そこまでは僕が適任。なぜなら高さんは、夢中になって始め、忘我の境地で作ってらっしゃったから。夢中になりすぎると、言葉はいらないじゃないですか?まさしく「夢中のアルバム」です。僕はそんな中、言葉担当だったため、このようにペラペラと発端と状況をしゃべれるのです。次ぎは、高さんのマニアックなインタヴュー、そして、参加したメンバーの話を、是非、聴きたいですね。

ガイド:
はい、ぜひそのチャンスがあれば、『夢のアルバム』そしてソリッドレコードの一連の作品についてお伺いしたいとここでラヴコールをさせてもらいます。これからもジャンルの垣根を超えた作品を楽しみにしております。ありがとうございました。
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