航空券/航空アライアンス

ワンワールド(2ページ目)

世界の3大アライアンスのひとつが「ワンワールド」です。日本航空が2007年に加盟したため、日本人にもなじみの深いアライアンスのひとつになりました。「ワンワールド」にはどんなメンバーがいるのか、ネットワークの強みは何か、どんなサービスが用意されているのかなど、「ワンワールド」の基本情報と新規加盟予定などのトピックスを紹介します。

執筆者:中西 克吉

ワンワールド主要メンバーのプロフィール

メンバーの中に、メガキャリアと呼ばれる、世界を代表する大手航空会社が多く含まれていることも「ワンワールド」の特徴です。加盟会社の数で比較すると、最大の「スターアライアンス」は26社(10年4月時点)で、「ワンワールド」の11社の倍以上のメンバーがいます。いっぽう、輸送量(航空業界で一般的な、座席数と飛行距離を掛け合わせて計算する「有償旅客キロ」での比較)では、「スターアライアンス」が28%、「ワンワールド」が20%。平均すると、「ワンワールド」は1社あたりの輸送量が多いことがわかります(08年のIATA・国際航空輸送協会の資料による。ちなみに「スカイチーム」は同25%)。

日本の旅行者にも親しまれている主要なメンバーの横顔を紹介しましょう。まずはアメリカを代表するエアラインの1社であるアメリカン航空。ダラス、シカゴ、マイアミ、サンファン(プエルトリコ)を拠点に、世界40ヵ国の250都市以上へ就航しています。日本路線は、成田からダラス、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなど米国本土の主要都市へ展開。日本からは北米各地はもちろん、中米やカリブ海沿岸方面、南米への乗り継ぎも便利です。

ロンドン・ヒースロー空港のBA専用のターミナル5。2008年にオープン。

ロンドン・ヒースロー空港のBA専用のターミナル5。2008年にオープン。

世界最大級のハブであるロンドンのヒースロー空港を拠点にするのが、ヨーロッパを代表する1社のブリティッシュ・エアウェイズ(BA)。アメリカン航空とともに発足当初から「ワンワールド」をリードしてきました。日本路線は成田/ロンドン線を毎日運航しています。BAは、超音速旅客機の運航やビジネスクラスへのフルフラットシートの導入など、運航やサービス面で航空業界のパイオニアの1社として活躍する航空会社。グループ会社を含めると、世界の約80ヵ国・地域の約200空港へネットワークを展開します。 

アジアを代表する航空会社の1社、キャセイパシフィック航空も発足時からのメンバーです。香港を拠地に、世界約30ヵ国の70都市以上へ運航(系列のドラゴン航空を含む)。日本では、成田・関西・中部・福岡・札幌(新千歳)の5空港へ乗り入れています。世界のメディアなどが選ぶ権威のある賞で「エアライン・オブ・ザ・イヤー」(世界最高の航空会社)の称号を得るなど、サービス面でも高い評価を受けています。

 

オセアニアや南米にも豊富なネットワーク

北欧を代表する航空会社のひとつ、フィンランド航空。近年、アジア路線を急ピッチで増やしており、日本路線も成田(毎日運航)、関西(毎日運航)、中部(週5便)の3空港に就航。週に19便がヘルシンキへ直行しています。日本から見ると、一見遠いイメージのある北欧ですが、同社のヘルシンキ線は日本とヨーロッパを結ぶ最短ルートです。

シドニーを拠点に世界の約80都市を結ぶのがカンタス航空。日本では成田に就航し、シドニーとオーストラリア西海岸のパースへそれぞれ直行便を運航しています。エアバス社の総2階建ての超大型機、A380をいち早く導入したことも特徴です。残念ながら日本路線には就航していませんが、欧米への長距離線の一部で運航されています。

加盟各社は一部の機材に、それぞれワンワールドの塗装を施している。

加盟各社は一部の機材に、それぞれワンワールドの塗装を施している。

そして、日本を代表する航空会社、JALです。経営再建中のため、ネットワークは大幅に削減されつつありますが、それでも日本発着の国際線ではナンバーワンの輸送量を維持しており、アフリカ以外の世界5大陸へ路線を持ちます。JALは加盟会社とのコードシェア便の運航をより強化する方針で、例えば欧州内では今春からBAとのコードシェア提携を13路線拡大。このなかには、ロンドン/アテネ、ベルリン、ブリュッセル、ジュネーブ、マドリッド、バルセロナなど、日本人客の利用が多い路線が含まれます。また同時に、「ワンワールド」のネットワークではカバーできない都市へは、加盟会社以外との2社間提携によりスムーズな旅を実現しています。

ほかにも、世界各地に「ワンワールド」のメンバーがいます。スペインを代表する航空会社で、ヨーロッパと南米を結ぶ路線などに特に強みを発揮するイベリア航空(同社は2010年4月、BAとの経営統合を決定)、南米を代表する航空会社であるラン航空、09年に11番目のメンバーとして加盟したメキシカーナ航空、中近東エリアで初めて世界的なアライアンスに加盟したロイヤル・ヨルダン航空などなど、顔ぶれは多彩。他のアライアンスに比べると、オーストラリアや中南米、中近東などの路線が特に豊富で、それが「ワンワールド」の強みのひとつとなっています。

 

新しくロシアやインドからもメンバーが加盟へ

現在の加盟会社数は11社ですが、今後さらに、ロシアのS7航空(シベリア航空)とインドのキングフィッシャー航空が加盟を予定しています。S7航空はロシアを代表する航空会社の1社で、世界の70都市以上に路線をもちます。同社が正式加盟すると、ロシア国内の35都市、およびアルメニア、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンなど8ヵ国の空港が新たに「ワンワールド」のネットワークに入ることになります。

またキングフィッシャー航空は、単一の航空会社としてはインドで最大の国内線シェアをもつ航空会社。インドの航空会社では初めて全席にパーソナルモニターを設置したり、16チャンネルのテレビのライブ放送のサービスを行ったりと、サービスの質・革新性においても評価の高い航空会社です。クオリティにこだわるという「ワンワールド」のコンセプトにふさわしい新メンバーの加盟が待たれます。これら新規加盟予定の2社を加えると、「ワンワールド」は世界の約150ヵ国の850都市以上を網羅することになります。
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