絵本/赤ちゃん・乳児向けの絵本

赤ちゃんのファースト絵本に!『てん てん てん』

赤ちゃんのファースト絵本の選択肢の1つに加えていただきたい『てん てん てん』。ダイナミックな虫の絵やその様子を表す擬態語が、まだ虫を見たこともない赤ちゃんの心も楽しく刺激します。

執筆者:千葉 美奈子

赤ちゃんのファースト絵本におすすめ『てん てん てん』

赤ちゃんと一緒に絵本を楽しみたいな、でも、どんな絵本を選んだらよいか雲をつかむよう!? そんな時の選択肢の1つに加えていただきたい絵本『てん てん てん』。ダイナミックな虫の絵と、その虫の様子を表現する「てん てん てん」「ぐる ぐる ぐる」などの単純な擬態語。まだ虫を見たこともない赤ちゃんの心も楽しく刺激し、成長につれて行動範囲が広がったり、言葉や仕草による表現力が増えてきたりするにつれて、赤ちゃんの楽しみを引き出してくれる1冊となることでしょう。

 


てんとうむしかたつむり、まだ見たことがないけれど……

『てん てん てん』に出てくる虫たちは、てんとうむし、かたつむり、ちょうちょなどなどです。まだお部屋の中での生活が中心だったり、お散歩の時間も限られている赤ちゃんは、出会ったこともない虫たちでしょう。それでもこの絵本が、赤ちゃん向け絵本として人気を得ているのは、なぜなのでしょうか?

表紙をめくると現れる白と赤のページに、大きな黒い丸がてん、てん、てん。そのてんてんを身体にまとったてんとうむしが、次ページに登場します。ぐるぐるうずまきの次のページにも、こっちを見て微笑んでいるようなかたつむりが登場。それが赤ちゃんにとって見たこともないわけのわからない存在であったとしても、「てん てん てん てんとうむし」「ぐる ぐる ぐる かたつむり」といったリズミカルで耳に心地よい言葉とともに、親しみのわく存在になっていくことでしょう。

赤ちゃんの興味はやがて、黒いてんてんを指さしたり、ぐるぐるうずまきを指でさわってみたりするという形で現れてくるかもしれません。そして、目や音から味わった楽しさは、やがて実体験と結びついていきます。赤ちゃんが1歳を過ぎてお散歩の行動範囲も広がっていくにつれて、いずれ、絵本に出てきた虫たちと実際に出会うこともあるでしょう。そんな時が来たら、再び新鮮な発見をもって、この絵本の世界に入っていくことでしょう。


成長につれて楽しみ方が変化していくのも絵本の魅力

初めての赤ちゃんに初めての絵本を選ぶとき、ママやパパは手探り状態。赤ちゃんにおすすめの絵本情報は、ネットで検索したり、図書館や書店の絵本コーナーに行けば様々な情報があるでしょうが、もちろん、赤ちゃんの反応は様々です。一生懸命選んだ絵本を開いても、赤ちゃんが期待通りの反応を見せてくれないことも多々あるでしょう。

赤ちゃんは、成長につれてママやパパが選んだ絵本に豊かな関心を示すことがあります。いずれおしゃべりが達者になったお子さんにぜひ、「この絵本は、あなたが赤ちゃんの時に一生懸命選んで最初に買った絵本なんだよ!」と伝えてみてください。

初めての赤ちゃんが生後2ヵ月のころ、『てん てん てん』を買ってきたけれど、「まだ絵本は早かったかな」と感じてしまった私。その後、1歳前には絵本をつかんで開いて指差しをする姿を見せるようになりました。そして何年もへてから、下の子にこの絵本を見せて読む姿も見られました。最初に見せた時にどんな反応を示すかだけでなく、成長につれて反応を示し出したり、さらに成長してからその絵本にまつわる思い出を伝えたり、家族のコミュニケーションのツールとなったり……。楽しみ方の変化を楽しめるのも、絵本の魅力です。
 
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