留学は自分に対する「投資」
同じMBAでも、学校によりマネージメント、マーケティング、アカウンティングなど、伝統的に強い分野を持つ(写真はハーバード大)
投資である以上、留学するに際して、何を学び、自身をどのように高めたいのかについて、「成果」としての「あるべき自分」「具体像」を持つべきです。そして、そのためには、どのような留学が自分のプランにふさわしいのかを、事前によく検討することが肝心です。
スキルの深耕かキャリアチェンジか?
今の仕事のスキルを活かすのであれば、MBA留学や海外インターンシップなどで、ビジネスにおける様々な視点を学び、スキルアップを図ることができます。デザインや料理といった特殊な分野でのスキルを海外で試すのであれば、ワーキングホリデーもいいでしょう。一方、留学でキャリアチェンジをしたい場合は、新たな学位の取得、もしくは大学院を狙うことになりますが、卒業後に何歳になっているのかも考慮しなければいけません。企業は通常30歳を超える採用については、経験のある即戦力、もしくはマネージャー(候補)であり、この年齢を超えて、まったくの未経験者を採用することは皆無です。
ただ、せっかくの人生なので、自分に合わないと思う仕事を続けていて、それでいいのか?という考えもあります。また、帰国後は就職ではなく起業するという前提で、関心のあるものにチャレンジし、自分の可能性に賭けてみるという選択も当然あります。
MBA留学
ビジネス留学で最も一般的なのが、MBA留学です。プログラム履修期間は、アメリカが2年間、イギリスを含むヨーロッパでは1年間が一般的で、マネジメント、マーケティング、ファイナンス、IT、ロジスティックス等を学びます。
特にトップクラスのビジネススクールでは、1年次より名だたる企業からのインターンシップのオファーがあり、そのまま就職するというケースも稀ではありません。
超短期「有名校留学」
ハーバードやスタンフォードなどの有名校が、ビジネスエグゼクティブ用に開講している1週間程度のプチMBAコースがあります。限られた期間で、リーダーシップ論やマーケティングなどテーマを絞りコースを設定。受講にはTOEFLのスコアも不要で、参加へのハードルは高くはありません。終了後は「終了証」も発行されることから、学歴に花を添える意味で参加する場合もあるようです。
海外インターンシップ
現在、日本国内の留学エージェントなどが、インターンシップと呼んでいるプログラムは、「現地の企業で仕事を実体験するもの」以外にも、「海外の幼稚園や学校で日本語を教えること」や、「ボランティア団体でボランティア活動をする場合」などを含み、これらは広義のインターンシップと位置づけられています。
インターンシップには、有給、無給の別があり、最も要望の多いポジションは「オフィスに勤務する有給インターンシップ」です。しかし、英語を母国語としない日本人にとってはかなりハードルが高く、語学力やスキルが伴っていない場合は、ほぼ無給のインターンシップになるとの認識が必要です。
専門学校への留学
芸術関係やスポーツ、ホスピタリティの分野を海外の専門学校(職業訓練校)で学ぶ方法もあります。
イギリス、ニュージーランドではポリテクニック、オーストラリアではTAFE、北米ではコミュニティーカレッジと呼ばれる公立の学校があり、私立の専門学校に比べると割安な学費で、留学生にも門戸が開かれています。しかし、当然授業は英語ですので、入学には学校の定める英語レベルをクリアしなくてはいけません。この要請レベルが英語の学習が進んでいない方には、やや高めであるため、前もって語学力をある程度高めておく必要があります。
ワーキングホリデー
ワーキングホリデー(ワーホリ)制度とは、協定を結んでいる2国間において、ある一定の条件のもと語学を勉強したり、働いたりしながら、海外で暮らすことができる制度です。2010年4月時点では、オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・韓国・フランス・イギリス・ドイツ・アイルランド・デンマーク、台湾、香港との相互協定があります。
基本的に1年間限定で、海外で仕事をしながら生活できるのが特徴。ワーキングホリデー中に働いていた会社から認められ、就労ビザに切り替えることができる場合もあり、本人次第では、自身のキャリアを大きく前進させる可能性もあります。
語学留学
語学留学だけだと、物足りなさを感じる方もいるかと思いますが、現在の英語スキルをより高めることも立派な「ビジネス留学」です。実際、海外の語学学校の上級クラスには世界中から英語力アップを目的に短期留学をするビジネスマンが、企業派遣も含め多く在籍しています。
紹介しましたように、「ビジネス留学」という切り口でもいくつかの選択肢があります。「ビジネスに活かせる留学をしたい!」そう思った時に、もう一度、本当に留学することが適切か、留学するならどのような形態がふさわしいかを、様々な角度から検討してみましょう。もちろん、留学という「投資」に見合う「成果」が期待できそうかも含めてです!