カジノは本当に危険なのか?

カジノは本当に危険なのか?

国際観光産業振興議員連盟(通称「カジノ議連」)が提出した「カジノ推進法案」が審議されはじめたことで、二つの動きが起きている。

一つはカジノ関連産業に参入しようとする企業の動きだ。

カジノはセキュリティの要塞。トイレの個室以外、あらゆるところに監視カメラが設置されている。こうした技術は日本の得意分野で、エンターテインメント面とあわせて参入に向けた検討が始まっている。

こうした動きとは別に起きているのがカジノ解禁に反対する動きだ。


カジノによりギャンブル依存症は増加するのか?

反対論における代表的な意見は次の二つ。
「ギャンブル依存症の増加」「闇社会への資金の流出」だ。

まずは「ギャンブル依存症の増加」について考えてみる。

『DSM―4―TR精神疾患の診断・統計マニュアル新訂版』(医学書院)では、「一般人口の3%にのぼる人が、病的賭博(以下、「ギャンブル依存症」)に分類される」と述べられている。

ギャンブル依存症は、それまでギャンブルのなかった地域にはじめて出来た時が最も影響があるが、その点から見ると日本での影響は限定的と思われる。

なぜなら日本にはすでに巨大なギャンブル市場があるからだ。それはパチンコだ。日本には1万2,000軒を越えるパチンコ店があり、大きな駅の前であればパチンコがないことのほうが珍しいほどだ。つまり日本はすでにギャンブル大国なのだ。

ところが日本の法律上、パチンコはギャンブルとみなされていない。クレーンゲームなどが置かれたゲームセンターと同じ扱いのため、パチンコ依存症がギャンブル依存症とみなされていないという問題が起きている。


カジノ合法化は日本のギャンブル行政そのものの改善

カジノを合法化すると、ギャンブル関係の法律が全体的に整備され、事業者にはギャンブル依存症対策も義務づけられる。

つまりカジノの合法化とは、単にカジノを解禁するのではなく、日本のギャンブル行政を根本から整備し、問題に対応する制度を作るものである。
これにより、事実上放置されているギャンブル依存症対策に、はじめて法的な手が加えられることとなる。


カジノが解禁されると闇社会へ資金が流出するのか?

あまり知られていないことだが、日本にはすでに数多くのカジノが存在する。ただしそれらはすべて「違法カジノ」。当然のことながら売り上げは闇に流れていく。

4月10日の朝日新聞でも報じられたが、ガーナの駐日大使名義で貸借された渋谷のビルで違法な裏カジノが運営されているのが明るみに出た。
だがこれも氷山の一角に過ぎず、首都近郊だけで数百軒の裏カジノがあると噂されている。だがそれは、遊びたい客がそれだけいるという証拠でもあり、このままでは闇への資金流出は止まらない。どうすればいいのか。


アメリカ合衆国の「禁酒法」の教訓

アメリカにはかつて「禁酒法」によりアルコール飲料の販売が禁止された時代がある。ではその時、アメリカ国民がアルコール飲料を飲めなかったかといえば全くそうではない。マフィアから買っていたからである。

国がアルコール類の販売を禁止したことで、そのビジネスがそっくりそのままマフィアの手に渡ったのだ。

しかも、禁酒法制定を後押ししたのは他ならぬマフィア自身だったことも後に判明。つまり禁酒法は、酒の流通を手に入れるため、マフィアが仕組んだものであったことが今ではわかっている。

裏社会の人間にとって、人の欲望を禁止する法律ほど金の成る木はない。

カジノも同じで、その禁止を解くことで、ようやく闇社会への資金流出を断ち切ることができる。日本を除く世界約140カ国がカジノを合法化した大きな理由がまさにそれである。
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