大東京の郵便局として
今日に続く東京中央郵便局の局舎に開局したのは、昭和8(1933)年11月1日のことです。前年の昭和7(1932)年10月1日に東京市が拡張され、現在の23区(当時35区)のほぼ全域が東京市に入り、いわゆる大東京となりました。東京中央郵便局は、まさに大東京の中央郵便局という役割を担ったのです。設計はモダニズム建築の巨匠・吉田鉄郎の手によるもの。躯体は関東大震災の教訓から、同じクラスの地震が起きても倒壊しないほどの頑丈な造りにしました。
東京中央郵便局の保存
ところがかつては最新鋭の機械設備を備えていた局舎も、戦後の高度経済成長期には過去のものとなっていました。さらに郵便輸送の主力が鉄道からトラックに変わると、駅前の一等地に壮麗な郵便局を構える必要も無くなってきていました。一時は完全に解体されるのも時間の問題と思われていたのですが、「東京中央郵便局の局舎は重要文化財と並ぶ価値のある建築」とする専門家の意見があったほか、当時の総務大臣だった鳩山邦夫氏が全面的な保存を要請する一幕もありました。最終的に、局舎の外観の部分を一部保存する形で妥結し、現在の東京中央郵便局などからなるJPタワーを建設して2012年7月17日にリニューアルオープン。2013年3月21日にKITTEも開業しました。
次のページでは、KITTEの現在をお伝えしたいと思います。