あなたの家の照度対比は大丈夫?
長い間変わらなかったJIS(日本工業規格)照度基準が、2010年に新たな照明基準総則(JISZ9110)として、照明の目的別空間の推奨照度の標準値が改定され、2011年に図1のような照度範囲が示されました。図1は目的別空間のなかで住宅の部屋別を抜粋したものです。ここに紹介されている照度はおもに作業面の水平面になりますが、洗面のひげそり・化粧は(顔面部分の)鉛直面照度が求められます。
作業面とは階段や廊下は床面をさし、和室は畳面から40cm上の座卓面の高さ、その他は床から75cmの高さになります。
空間は用途に応じて均一な光が必要であったり、明るさにメリハリが求められたりすることがあります。
写真1.ピッチは均一に照明されている
一方で、住宅のダイニングルームのような空間では、食卓面を周囲より明るくすることで料理がおいしそうに浮かび上がり、雰囲気も高めることができます。
照度均斉度とは
視覚の質で言えば照度の絶対的な値に特別な意味はありません。例えば10ルクスの明るさは、もし目が1ルクスの明るさに順応していれば明るく見えます。しかし目が100ルクスの明るさに順応していれば10ルクスは暗く感じるはずです。
つまり同じ10ルクスでも周囲の明るさによってその明るさ感は全然違って見えるのです。
同様に照度は、同一視野内に対比がある場合、その度合いによって私たちの知覚は変わります。このような明暗差の度合いを照度均斉(せい)度(最小照度:最大照度、または作業面範囲の最小照度:平均照度)で表現され、用途に応じて、どの程度の均斉度が適切かどうかの目安にします。
次に生活における適正な照度均斉度と様々な照度対比の見え方や空間の感じ方がどうかを紹介します。