規約の見直しは地味だけど重要です!
標準管理規約の改正動向
その一方で、標準管理規約はこれまで大きく2回改正されています。その主な改正内容について紹介しておきます。(1) 平成16年の改正
イ)管理組合の運営、その他マンション管理に関し、専門知識を有する者(マンション管理士など)に相談・助言・指導を求めることができることを明文化。
ロ)総会決議要件に関する規定の整備
・「共用部分の形状又は効用の激しい変更を伴わない」修繕工事は、普通決議で実施可能と明記。
・総会決議において可否同数の場合には、議長(理事長)が決するとされていたが、可否同数の場合は否決となるよう変更。
ハ)未納管理費の請求に関し、管理組合が機動的に対応できるよう、原則総会決議を要するところ、理事会決議により理事長が組合を代表して訴訟等の法的措置を追行できる旨を規定。
(2) 平成23年の改正
イ)組合の執行機関である理事会が適正な体制を確保できるよう、下記の通り改正。
・役員のなり手不足への対応のため、資格要件から現住要件を削除。
・役員改選時期と組合の決算時期が通常異なることから、新年度予算成立までの経常支出は、現理事会の承認があれば可能に。
ロ)総会における議決権の取り扱いとして、なるべく多くの組合員の意見を反映させるべく、これまで限定列挙されていた代理人の要件を撤廃。
現状の管理規約を見直す余地がないかチェック
標準管理規約は、あくまで「指針」という位置づけのため、規約のすべてを最新の標準規約の内容にアップデートする義務や必要性はありません。しかしながら、大規模修繕工事を普通決議(過半数の承認)でよいとする規定や、総会を開催せずに理事会決議で滞納者に対する法的措置の追行を可能にする規定などは、普遍的に取り入れてよい性質のものと言えます。
さらに、時代環境の変化に応じて適宜規約を見直し、改正することが望ましい場合もあります。
昨今、たとえば3LDKのスペースに10名以上の入居者がシェアする「脱法ハウス」のような賃貸スキームが、管理組合における紛争事例として発生しています。このような場合、合法と認められる以上、あらかじめ管理規約で禁止すると明記しておかない限り排除することは難しいでしょう。
また、使用細則についても、ペットの飼育、敷地内の駐車問題などに関するあいまいな規定が居住者間でトラブルが生じる原因となることもあります。
管理組合の理事でさえ、自分のマンションの規約に目を通していないことも珍しくありません。そのような場合は、当然のことながら標準規約の改正はおろか、その存在さえもが認識されていません。
私たちマンション管理士が、その点を十分認識したうえで、住みよいマンションにするための規約の見直しや改正を適宜提案し、その実現をサポートしていくことが大切です。