東京駅から総武線で10分余、
商店街が元気な街
東京駅から総武線で10分ちょっと。荒川、中川を渡ったところにあるのが新小岩(葛飾区)。元々の地名はお隣駅、平井とつながる上平井町、平井中町と小松菜の由来である上小松町、下小松町でしたが、先にできた小岩駅に合わせ、昭和3年にできた総武線駅名が新小岩だったことから、昭和40年に駅名が地名となっています。
小松菜の由来ということからも分かるように、江戸時代のこのあたりは蔬菜の産地。昭和になって駅ができた頃にも周辺は田園風景が広がっていたそうで、鉄道開通以降、工場は多く立地していたものの、現在の賑やかな街に変貌するのは昭和30年代以降。昭和50年代からは今度は工場が郊外移転を始めており、その跡地が現在の新小岩公園、新小岩中学校、松上小学校(現在の小中一貫校葛飾区新小岩学園)、都営住宅、公団住宅などになっています。
さらに平成に入ってからは農地の多くが消失、中川に注いでいた水路、西井堀も埋め立てられ、現在は緑道になっています。その一方でバブル時にも大きな開発は行われておらず、特に駅周辺はいまだに南北通路がないなど、使い勝手の悪さも。また、かつては北口を中心に複数のボーリング場、南口には映画館もあったそうですが、現在は北口側(駅からはちょっと遠い)に1軒のボーリング場を残すのみ。過去を知らないで訪れると賑やかな街のように見えますが、実際には変化し続けているというわけです。では、実際の街の様子を見ていきましょう。
個人商店中心の商店街は
店種の豊富さ、安さが魅力
まずはアーケードのあるルミエール商店街のある南口側。ここは駅前のロータリーから何本かの商店街が伸びており、中央になるのが約420m、140店が並ぶルミエール商店街です。個人商店が中心で業種は様々揃います。最近ではアジア料理店なども増えているようで、古くからあるらしい店舗と新旧が入り混じる雰囲気になっています。総じて物価は安く、暮らしやすそう。ちなみに妙に100円自販機が多いのも目に付いたところです。
ただ、気になったのは1週間単位などでイベント的な貸スペースになっている店舗が少なくないこと。こうした店舗は人通りが少なくなるなどすると、すぐに退去してしまうため、街の長期的な発展にはつながりにくいのです。
ルミエール商店街以外にも店は多く、中にはスナックや風俗系の店舗が集まっているエリアも。かつて赤線があった街ですから、なんとなく、その名残があるのかもしれません。
商店街を抜けると一戸建てが中心になった住宅街。さらに行くと千葉街道があり、通り沿いには大型店、マンションもありますが、それほど多くはありません。
いよいよ着工、
南北をつなぐ歩行者専用通路
続いて北口側。こちらにも商店街がありますが、現状駅前は多少がらんとした状態。いささか寂しい感じがします。新小岩駅周辺は総武線の線路とホームの下を通る平和橋通りとで市街が南東、南西、北東、北西の4つに分断されており、南口側から北口側へ行くためには駅を回って平和橋通りを迂回することになります。しかし、これでは不便と現在、南北をつなぐ歩行者専用の通路が計画されており、平成25年中に着工、今後形になっていく予定です。完成すれば街の様子も変わることでしょう。
ちなみに線路北側にはもうひとつ、東北に出る口があり、出たところには平成23年に完成した東北広場が。何もない場所に作られたため、周辺は今のところ、がらんとした印象。ここもいずれ変わっていくことになるのでしょう。
駅から平和橋通りを北へ向かうと総武線と並行して東西に走る蔵前橋通りにぶつかります。これらの通り沿いには近年大手デベロッパーのマンションが増加、瀟洒な外構で目立っています。現在は埋め立てられた西井堀は蔵前橋通りと平和橋通りの交差点を斜めに突っ切る形で流れており、蔵前橋通りより先は緑道に。ところどころにはせせらぎも作られており、のんびりした風景。周辺は一戸建て中心の住宅街です。
蔵前橋通りを荒川、中川方向に向かうと新小岩公園。噴水、遊水池、ジョギングコース、芝生広場などがある広い公園です。さらに西に向かうと中川、荒川にかかる平井大橋があり、首都高中央環状線の平井大橋出入り口。車での移動にも便利な立地というわけです。
最後に総武線新小岩の住宅事情とこれからの街づくり計画を見ていきましょう。