リビング階段とは、リビングやダイニングなどに設けられた階段
リビングの落ち着きを保ちつつ、交流を図ることもできる階段プラン。 [階段ユニット 施工例/ベーシックタイプ チーク×プレシャスホワイト] LIXIL
「リビング階段」は、「リビング内(イン)階段」とも呼ばれ、リビングやダイニングなど、家族のくつろぎのスペースに設けた階段のこと(玄関からリビングを通らないと行くことができない階段を含む場合もあります)。 建築的な用語というよりは、従来より多くみられる、玄関や廊下近くに設けられる階段と異なる、居室に取り込んだ階段スタイルを表す名称と言えるでしょう。
最近では、LDKをひとつの空間とする間取りが多いので、「リビング階段」というよりも、「LDK内階段」という呼び方の方が近いかもしれません。
リビング階段のメリット
敷地条件や住まい全体の間取りなどにもよりますが、「リビング階段」とした場合に期待されるのが、子供とのコミュニケーションが図りやすい、というもの。限られたスペースでも取り入れやすい、というメリットもあるでしょう。リビングやダイニングにも行き来しやすい、光を取り込む明るい階段スペースを確保したプラン。[ベリティス プラス] パナソニック エコソリューションズ
「リビング階段」のメリットとして挙げられるのが、2階に子供部屋を設けた場合、帰宅時や外出時に家族のいる1階のリビングを必ず通るので、コミュニケーションが取りやすいということ。玄関から自分の部屋へ直行することを防ぐことができるため、子育て世代を中心に取り入れたい、と希望する方も多くみられます。
確かに、家族がいることの多いリビングを通るので、顔を合わすことや気配を感じることができる可能性は高いでしょう。しかし、コミュニケーションが深まるかどうかは別の問題だと思いますし、共働きなど、生活スタイルによっては、子供の帰宅時には家族はリビングにいない、ということもあるかもしれません。新しい家での暮らし方をイメージして、検討することが大切です。
■限られたスペースを有効活用できること
「リビング階段」といってもさまざまなプランがあり、一概には言えませんが、一般的には、階段部分のスペースをリビングの一部に取り込むことができるので、空間を有効利用できることはメリットのひとつ。敷地に限りがある狭小住宅にも向いているでしょう。
■上からの光を取り入れ、空間的な広がりが生まれること
「リビング階段」を設置することで、上階からの光を下階に取り込み、明るいリビングとすることも可能。プランによっては、空間に広がりを感じることもできるでしょう。
■空間のデザイン的なポイントにもなること
プランニングにもよりますが、デザイン性の高い階段とすることで、空間のポイントとなる場合もあるでしょう。たとえば、螺旋階段などは、空間のイメージを大きく変えるのではないでしょうか。
リビングに組み込まれた階段がベンチにもなるようなデザインにしても。[階段ユニット ホワイトオーク×プレシャスホワイト] LIXIL
リビング階段のデメリット
デメリットは、目に見えない空気やにおい、音などが問題となるケースがみられること。空調計画や住まいの断熱性能などには充分な配慮が必要でしょう。■冷暖房効率が低下しやすいこと
プランニングにもよりますが、「リビング階段」から空気が逃げてしまうことで、冷暖房効率が低下してしまうことも。住まい全体の断熱性能を高めることはもちろん重要ですが、階段のスタイルによっては、上階か下階部分に扉を設けるなどのプランも考えられます。開放しておくこともできる引き戸タイプが向いているでしょう。
■キッチンからのニオイが届いてしまうこと
階段がキッチンに近い場合、リビング・ダイニング・キッチンがひとつの空間の場合などは、調理中のにおいが2階まで届いてしまうこともあるようです。
■上下階の音が響くこと
階段の設置状況にもよりますが、リビングのテレビの音などが2階まで聞こえてしまったり、子供部屋で友達と遊ぶ声が響いたりするケースも。気配を感じる程度であればいいかもしれませんが、くつろぎが妨げられない工夫も必要でしょう。逆に、声が届きやすい、というのはメリットになるかもしれません。
■リビングで落ちついて過ごせないケースがあること
家族の中で生活時間が異なる場合は、リビングに階段があることで、落ち着かない空間となってしまう場合もあります。たとえば、お子さんの友達が遊びに来た時などは、リビングまで片付けなければならなくなる、休日にのんびりとソファでくつろげない、などといった声も聞かれます。
リビング階段に適した建材商品も
リビングスペースに緩くつながる、開放的な階段スペース。 [アルミオープン手すり メープル色] パナソニック エコソリューションズ
メーカー商品には、リビングに設ける階段に向くようなデザイン性の高い商品、オブジェのように印象的なタイプ、内装材や建具など、インテリア部材とのコーディネートも可能なものなどもみられます。また、木質建材だけでなく、アルミと組み合わせたデザインやシンプルでモダンな階段、開放感のある手すりを組み合わせることができるタイプ、螺旋階段など、選択の幅は広がってきているといえるでしょう。
動線などを充分に配慮して住まい全体で検討を
空間のアクセントにもなるようなリビング階段。吹き抜けのプランにも取り入れやすい。[レイスルー手すり オープンリビング階段 桁タイプ] YKK AP
将来のライフスタイルの変化も考慮して
「リビング階段」に限りませんが、間取りプランは、現在だけでなく将来的な家族の変化、年齢や構成の変化を見据えることがとても大切です。子供が幼い時は魅力的なプランも、成長した時には、適さない場合もあるものです。新しい住まいの間取りプランは、長期的な視点で、住まいに対する要望の優先順位を明確にして、検討することが重要でしょう。【関連記事】
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