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『グランド・ブタペスト・ホテル』とホテル映画(3ページ目)

ウェス・アンダーソン監督の新作『グランド・ブタペスト・ホテル』は、伝説のコンシェルジェの逃亡劇を描いたコミカルかつシュールな作品です。映像美とデザインに圧倒されるこの映画の舞台となるホテルの素敵なこと! 非日常的空間を作り出すホテルと映画は相性バッチリで切っても切れない縁があるのです。というわけでホテルを舞台にした映画を『グランド・ブタペスト・ホテル』をトップにピックアップしてみました!

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド


タランティーノ&コーエン兄弟の一筋縄ではいかないホテル映画

『フォー・ルームス』(1995年度作品)
インディペンデント界の鬼才たちがホテルを舞台に描くショートストーリー4編。ホテルは多くの人が集いますが、住居と違って隣室の人が何をしているのかわからないところが、この映画のポイントです。

宿泊客は魔女だったり、いたずらっ子だったり、賭け事に興じるイカれたコメディ俳優だったりと多彩。パブリックスペースではすましていても一歩部屋に入るととんでもないことが起こっているかもしれないというホテルのミステリアスな一面をクセ者監督たちが料理。そりゃもう正直ハチャメチャです。彼らに振り回されるベルボーイ(ティム・ロス)が気の毒になってしまうほど。

タランティーノ監督が演出した『ペントハウス ハリウッドから来た男』はロアルド・ダールの傑作短編小説「南から来た男」の影響を受けたストーリー。オチがタランティーノらしくて最高です。

監督: アリソン・アンダース(第1話『ROOM 321 お客様は魔女』)アレクサンダー・ロックウェル(第2話『ROOM 404 間違えられた男』)ロバート・ロドリゲス(第3話『ROOM 309 かわいい無法者』) クエンティン・タランティーノ(第4話『ペントハウス ハリウッドから来た男』)
出演:ティム・ロス、マーク・ローレンス、ヴァレリア・ゴリノ、マドンナ、リリ・テイラー、サミ・デイヴィスほか

『バートン・フィンク』(1991年度作品)
劇作家がハリウッドでB級映画脚本を執筆することになり、古いホテルの一室にこもったことから始まる恐ろしく奇妙な出来事を描いたジョエル・コーエン監督作。

古いホテルって何かが起こりそうな不気味さがありますよね。この2つ星くらい? の薄暗くて埃臭そうなホテルも相当薄気味悪いです。そのイヤ~な空間で執筆に行き詰った作家を振り回す出来事が次々起こるのがこの映画。彼の夢?脳内の世界?と混乱しますが、最後に明かされる事実に「あ!」と息をのむという……うまいっ! さすがジョエル・コーエン!

作風が独特だし、インディーズ色が濃いけどやっぱり彼は名監督。ちなみにイーサン・コーエンが脚本を共同で担当。世界最強の兄弟による不気味なホテル映画です。

監督:ジョエル・コーエン
出演:ジョン・タートゥーロ、ジョン・グッドマン、ジュディ・デイヴィス、マイケル・ラーナー、ジョン・マホーニー、トニー・シャルーブ、ジョン・ポリト、スティーヴ・ブシェミ、ミーガン・フェイほか



ホテル映画は結構多くてほかにも『グランド・ホテル』『ホテルルワンダ』『摩天楼はバラ色に』『メイド・イン・マンハッタン』日本映画では『THE有頂天ホテル』『めがね』などがありますね。映画もホテルも非日常的な世界が魅力なので、舞台にするのに相性がいいのかもしれない。これからも増えていきそうですね。
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