一緒に働きたい選手No.1は?
「企業が選考時に最も評価する能力」で毎年トップなのが、「コミュニケーション能力」だ。コミュニケーション能力はどんな仕事をする上でも必ず必要となる能力なので当然どの企業も重視している。私が日本代表の中でこの「コミュニケーション能力」が優れていると思うのは、長友佑都選手だ。
長友選手の関係構築力はビジネスでも十分通用するだろう
「コミュニケーション能力」と聞くと、多くの人は「話すのが上手い」 「プレゼンが上手い」をイメージするが、私は企業で求められるコミュニケーション能力とは周囲の人との「関係構築能力」であると思う。
長友選手がインテルに移籍した際に、多くの海外選手が「日本人のイメージが覆された」と言っていたという。日本人には大人しくシャイなイメージがあったようだが、長友選手はとにかく愛嬌があり、自ら多くの選手に話しかけ、時にはギャグも交えながら早いスピードで打ち解けたのだとか。
最初は「可愛がられる存在」だったかもしれないが、次第に「ユウトが言うならそうしよう」と長友選手の意見を受け入れるようになり、最終的には多くのベテラン選手からの信頼すらも勝ち取りキャプテンを任されるまでになったのだ。
企業の選考では、必ずと言っていいほど現場のマネージャーや管理職が面接官を務める「現場社員面接」がある。その合格基準を一言で言えば、「現場で自分の部下として一緒に働きたいかどうか」だ。きっと長友選手の愛嬌であれば、多くの企業の現場社員は「自分の部下として育てたい!」と思うはずだ。
企業は「挫折体験」と「理不尽体験」から可能性を読み取る
また長友選手は高校を卒業した後、すぐにJリーグのクラブには入らずに明治大学に入学し、サッカー部に所属している。また入部早々椎間板ヘルニアを発症し、しばらく試合に出られない時期が続き、苦しんだ経験があるようだ。私は企業の面接官トレーニングもしているが、採用担当者が最近重視しているエピソードに「挫折体験」と「理不尽体験」がある。高校卒業後にすぐにJリーグのトップチームで活躍しチヤホヤされた選手よりも、長友選手のように体育会の理不尽な縦社会で揉まれ、大きな挫折経験をした人材の方が企業は可能性を感じるだろう。
そのような理由から、もし長友選手が就活をしたら、業界や会社規模問わず多くの企業から内定が集中するだろう。
ただ、当然ながら「企業」といっても職種や業界によって、それぞれ求める人物像は異なってくる。特定の職種や業界で高い評価を得る日本代表の選手は誰だろうか?