20代、30代の家計に有効!高額療養費の改正
国や自治体の施策は、社会保険のような国民や住民をひとしく対象とするものと、就業が困難で収入を得ることのできない状況や障害、難病などの特定の方々を対象とするものがあります。そして、社会状況が変わり施策が創設された当初と異なる状況になると、見直し改正がおこなわれます。今回の高額療養費制度の見直しは、高額所得層に負担を引き上げる一方で、低額所得層の負担を引き下げようとするものです。20代、30代という働いた期間の短い、または結婚してまもない世帯は、まだ所得が低い場合が多いということを考えると、若年世帯への支援という意味と読み取ることができます。
高額療養費制度とは?
協会けんぽが2013年に実施した「医療と健康保険に関する意識調査」では、高額療養費制度を利用したり、知っている人は6割強という結果が出ています。まだまだ知られていないこの制度。そもそも、どのようなものなのでしょうか?高額療養費制度とは、重い病気やケガなどをした患者が、高額になった医療費で家計が行き詰まってしまうことのないよう、自己負担に限度額を設けた制度のことです。
自己負担限度額を超える医療費を支払った患者は、申請すれば差額分を返金してもらうことができます。100万円の医療費で、窓口負担(3割)が30万円かかった場合をみてみましょう。
払い戻しを受けられる条件は、以下の通りです。
1.同一月に同じ医療機関(同じ病院でも入院と外来、医科、歯科は別々に扱います)に支払った自己負担額が一定額を超えるとき
2.同じ世帯で、同一月に2万1000円以上の自己負担が2件以上あり、その合計が一定額を超えるとき
3.血友病や腎透析患者など、高度な治療を長期間にわたって受けなければならない人の場合は、自己負担額が1万円を超えるとき
また、同じ世帯で、直近の12ヶ月に3ヵ月以上高額療養費の支給を受けると、4ヵ月目からは自己負担額が4万4000円(上位所得者は8万3400円、低所得者は2万4600円)を超える分が払い戻されます。
次のページでは、高額療養費制度の変更について解説します