山手線30番目の駅が約半世紀ぶりに誕生
品川ー田町間で、約13haの再開発がスタート
東日本旅客鉄道は、6月3日に品川駅と田町駅間の品川車両基地のある約13haの大規模用地で新たな街づくりを検討するとともに、その街の核として新駅を設置することを発表しました。2020 年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会にあわせて暫定開業する予定です。山手線の駅としては、30番目。新駅は、1971年の西日暮里駅以来で約半世紀ぶり。駅名は未定で、名称の選定法も含め今後検討していくとのことです。
新駅の特徴としては、駅とまちが一体となった象徴的なにぎわい空間と発表。今後、国際的な交流拠点や自然豊かな環境などまちづくりコンセプトを固めていく予定です。 開発の背景としては、2015年の開業を予定している「上野-東京ライン」の開通により品川車両基地の縮小が可能になったことや、都心エリアの開発余地が限られる中で、商業立地のニーズが高いことも挙げられます。2020年の暫定開業を目指しているように、東京五輪開催決定も開発にドライブをかけたのでしょう。 六本木ヒルズの開発区域が約11haですから、相当規模の再開発になります。汐留貨物駅跡地で施行された約31haの再開発汐留シオサイトでは、11の街区に日テレタワーやカレッタ汐留、ホテルコンラッド、東京ツインパークスなど多彩な都市機能が創出されました。こうした新たな都市機能の創出は、周辺エリアのマンションの価格形成にも影響を与えています。新駅と再開発が今後周辺エリアへもたらす影響を考えてみましょう。
昼間人口が街の価値を左右
千代田、港、中央の都心3区が昼間人口の増加トップ3
再開発によって、商業施設やオフィスなどの業務施設が誕生することによって増えるのが昼間の人口です。平成22年の国勢調査(従業地・通学地による人口・産業等集計結果)によれば、昼間人口の伸びのトップは、千代田区で1738.8%。千代田区の代表的な住宅街である番町の地価水準が高いのも頷けます。
夜間人口と比べ昼間人口の伸びが大きい特別区は、1位千代田区、2位港区、3位中央区。この3区は、首都圏の平成26年地価公示の商業地・住宅地の伸び率上位にランクされています。ちなみに東京都全体では、18%超のプラスで全国トップ。逆に埼玉県は、昼間人口のマイナスで全国1位の88.6%、千葉県が2位で89.5%です(ともに平成22年国勢調査のデータより)。品川インターシティや汐留シオサイト、六本木ヒルズや東京ミッドタウンなどの過去の例を見ても、新駅周辺の居住ゾーンとしての価値は高まることが予想されます。
品川~新橋間は、開発計画が目白押し
港区エリアの居住ニーズはさらに高まる可能性も
品川~田町の周辺エリアは、開発計画が目白押しです。6月11日には、虎ノ門ヒルズがオープン。新橋駅から徒歩11分のロケーションで、下を通る環状第2号線(新虎通り)は、築地から豊洲に伸び湾岸エリアとも結ばれます。
さらに浜松町駅では、世界貿易センタービルの建替えをはじめとした浜松町駅西口周辺エリアで開発計画が進行中です。2つの街区のうち一つは平成26年度から着工予定。平成29年度の完成を目指しています。また、田町駅では田町駅東口北地区の開発整備が進められています。芝浦公園の整備や商業・業務機能、暮らしの拠点づくり、保育施設や病院などの街づくりが進行中です。
羽田空港の国際化により、海外へのアクセスも良くなった品川~新橋間。リニア中央新幹線の新駅が品川で計画されるなど将来性が高い事もありさらに注目が集まるかも知れません。
東京五輪の決定で豊洲や勝どきなどの湾岸エリアのマンションに注目が昨年秋以降集まっていますが、2013年9月のガイド記事でも紹介したように将来性を考えた狙い目地域の代表格。新築マンションの動向をチェックしたい街だと思います。