『おとん』がだらしないのは、その呼び方が原因かも?
家の中でいつもダラダラしている父の姿を見ている男の子は、父親になんとかかっこいい男になってもらいたいと考えました。「名は体(たい)をあらわす」ということわざがありますが、父親がのんべんだらりんと過ごしているのは「おとん」という呼び方が悪いのではないかと思った男の子は、とある秘策を考えつきました。さて、おとんはかっこいい男に変身できるのでしょうか?『おとん』がかっこよくなる呼び方探します
ごろんと横になり袋菓子を食べながらテレビに興じるあの人は……あっ、間違いありません。主人公の男の子のおとんです。「えー、うちのパパかと思った!」という声も聞こえてきそうですね。どこの家庭でも見られるありふれた風景ですが、男の子は残念で仕方ありません。大好きなおとんにはかっこいい男でいてほしいからです。呼び方を変えればおとんも変わるかもしれないと思いついた男の子は、様々な呼び方でおとんを呼んでみます。パパやお父さんから始まって、「普通の呼び方ではおもろない!」とばかりに、色々な呼び方を探してはその呼び方でおとんに呼びかけます。
「父上」「おとっつあん」ならすぐにおとんのことだとわかりますが、「ばあばあ」や「ばっびーの」「ばば」なんて呼ばれたら、もう誰のことだかわかりませんね。実はこれらもみんな外国語でおとんのことなんですって! そしておとんは聞きなれない呼び方で呼ばれるたびに、カンフーの達人になったりセリエA(?!)でゴールを決めたりしていきます。
こんなお父さんはかっこいい? それともらしくない?
それにしても「おとん」というのは温かい響きをもった良い言葉ですね。けれど、例えばこの男の子もまた成長し、いつの間にか「おとん」を卒業して「なあ、おやじ」なんて呼びかけるようになるのでしょうか? 嬉しいようなちょっぴり寂しいような未来の光景です。そんな日を想いながら、子育て真っ只中のお父さんにもぜひ読み聞かせをしていただきたい絵本です。
【書籍DATA】
平田昌弘:文 平田景:絵
価格:1512円
出版社:大日本図書
推奨年齢:4歳くらいから
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※参考
本書の姉妹篇として『おかん』(平田昌弘/平田景/大日本図書)があります。こちらは親子の掛け合いが楽しい絵本で、合わせてお読みいただくと面白さ倍増です。