寝違えの時に緊張が高まる二つの筋肉
まず、寝違えの症状によって対応方法が異なります。頸部を動かさなくてもズキズキと痛みがある場合は炎症が発生している可能性が高いため、ツボを押すなどはせず、医療機関を受診するようにしましょう。最も多い寝違えの症状は、振り向く動作が痛みによってできなくなることですが、こうした多くの場合、肩甲骨から頚椎に向かい走行している肩甲挙筋という筋肉に過剰な緊張が生じています。肩甲挙筋は肩甲骨を引き上げるために働く筋ですが、座って眠るときや横向きで寝るときなどは頭の重みで引き伸ばされます。また、仰向けで首をひねって寝るような姿勢では胸鎖乳突筋という鎖骨、胸骨から側頭部に向かう筋が引き伸ばされます。
筋肉は例え力を発揮していなくても引き伸ばされることで筋の内圧が高まり、毛細血管を圧迫することで血流が低下します。こうした筋内血流の低下が寝違えの痛みの原因となったり、筋損傷の原因となります。
上記にある筋肉は二つとも首の回旋時に働いたり、引き伸ばされたりするため、寝違えが発生した時に痛みの主な原因になると考えられます。
こうしたことを踏まえ、寝違えの症状改善に有効であると考えられるツボをみていきましょう。
・肩甲挙筋をゆるめるツボ
肩甲挙筋をゆるめるつぼ肩外兪
また、マッサージだけでなく軽い力で筋の収縮伸張を繰り返すことでも血流が促進され、症状の改善が期待できます。肩をすくめる・力を抜くといった動作も簡易的ではありますが効果があると考えられます。
胸鎖乳突筋をゆるめるツボ完骨
寝違えの痛みの原因となるもう一つの筋である胸鎖乳突筋の緊張を軽減する効果があるツボとしては「完骨(かんこつ)」が挙げられます。完骨は耳の後ろ側にある骨の膨らみ(乳様突起)の下の部分から指1本分上に存在し、ここに対し優しくマッサージを行うことで胸鎖乳突筋のリラクゼーションが可能です。
こちらの筋もマッサージだけでなく筋の収縮伸張を繰り返すことも筋緊張を緩和する有効な方法となります。ややあごをひき痛みの無い範囲で動かしにくい方に首をゆっくり回旋し、その角度のままうなずく、上を向くという動きを繰り返すと無理なく胸鎖乳突筋の収縮伸張を繰り返すことが可能です。
先にも述べましたが、痛みが強い場合やしびれがある場合など少しでも気になる状態であれば迷わず医療機関を受診するように心掛けてください。
また、上記に紹介した方法を実施する時は無理せず優しく行うようにしてください。またもし実施している最中に痛みが増すようなことがあれば、直ちにツボを押すのを中止するようにして、医療機関を受診するようにしてください。