杉は、“隠された日本の財産”
杉と言えば、木目の柾目(まさめ)が緻密によく通っており、古くから日本人の美意識に重なる素材。日本にしかない杉は学名を「クリプトメリア・ジャポニカ(Cryptomeria japonica)」といい、意味は、“隠された日本の財産”。杉は成長も早く、真直ぐに伸びる針葉樹。
杉の植林は室町時代とも伝えられ、寺社仏閣を建立する際の構造材としても周辺に植林を行い用材の確保を図ってきた。「真直ぐ」なだけでなく、屋久杉や吉野杉の細かくて美しい木目はとても珍重され、その他優れた調湿機能や香りなどを活かして住宅、家具、樽などの日用品、舟など、現在に至るまで様々な場面で日本の暮らしと関わり続けている。
しかし、近年では日本は国土の67%が森林であるにもかかわらず、木材の自給率はわずか27.8%にとどまり、年間およそ8120億円(2008年度実績・財務省「貿易統計」より)もの木材を輸入している。森林大国カナダの自給率が303%、森林率が13%と少ないイギリスでさえ、25%と日本とほぼ同じ自給率を誇っていることを知ると考えてしまう。森林資源が大量放置されているにもかかわらず、活用を図れない環境にこそ今日的な日本の森林問題がある。
そのような状況のなか最近国産材の活用方法に目をみはるものがある。
国産材針葉樹を曲げ加工できる技術を発表した天童木工
天童木工は、新商品発表会で杉や桧(ヒノキ)などの国産材針葉樹を曲げ加工できる技術を発表した。針葉樹の木目や香りの良さを生かすなど、木製ファニチャー(家具)の新たなデザインの領域を切り開く技術として注目されている。
そこで浜松町にある天童木工東京ショールームにて国産材針葉樹曲げ加工よるファニチャー(家具)について、加藤幸男 専務取締役、永坂秀樹 ホームユース事業部長、斉藤慎也 企画係長に詳しいお話を伺ったのでご紹介しよう。