目の疲れの原因とは…?
近年目の疲れを訴える方が急増しています
人間は多様な情報を獲得し生活を送っていますが、その情報の80%近くを目から得ていることがわかっています。人間の特徴でもある言語によるコミュニケーションから得る情報はわずか5%程度ということからも、いかに目の機能が重要であるかがわかります。
情報の入り口になる目が疲労してしまった状態を一般的には「疲れ目」などと呼びます。これは眼球を動かす筋肉や、眼球のレンズである水晶体の厚さを変化させる筋肉が緊張し続けることにより血流の循環が低下し発生すると考えられています。こうなると、遠くに目を向けた時にレンズの機能が低下してしまうため焦点が合わず景色がぼやけるなどの症状も発生します。
こうした症状が悪化していき、物を見るだけで目の疲れや痛みを感じる、視界がかすむ、頭痛や吐き気、首の痛みがするなどの症状を訴えるようになると「眼精疲労」という状態になります。眼精疲労では睡眠などをとって目を休ませても回復がみられず、原因となる行動自体を休止する必要が生じ、生活や業務に支障をきたしてしまいます。
社会問題化している目の疲れ
こうした目の症状が深刻化している象徴として、労働省において平成10年に実施した「技術革新と労働に関する実態調査」によれば、コンピュータなどのディスプレイ端末を使用するVisual Display Terminal(VDT)作業に長時間従事している作業者のうち、精神的疲労を感じているものが36.3%、身体的疲労を感じているものが77.6%にも上っていることが明らかになっています。この結果を受けて厚生労働省では「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を策定し、VDT 作業が連続して1時間を超えないようにするなどの指導を行っています。また、就業の前後や合間にストレッチングや体操などを実施するようにすすめることで肩や頸部周辺の筋の緊張を低下することも望ましいとしています。
このように、一般化しかつ深刻化する傾向をみせている疲れ目などの目の症状ですが、東洋医学的な観点からはどのように考えられるのかをご紹介していきたいと思います。