NAでも動力性能に不満はなし
1.5LのNAエンジンは、111ps/140Nmで、フィエスタの1.0L直列3気筒ターボの100ps/170Nmと比べると数値どおり、出だしのトルク感では譲る。しかし、回していくと十分な加速フィールが得られるし、ゲトラクフォード製の6速DCT「PowerShift」の素早い変速によりストレスを感じさせないのが美点。
ターボの「エコブースト」と比べると過給されないぶん、トルク感と過給時の後ろから押されるようなフィーリングはないが、NAらしく、回すと伸びと意外にパンチ力も感じられる。
シフトレバーをSポジションに入れるか、シフトレバーのマニュアルモードスイッチを駆使すれば力不足を実感するシーンは少ないはずだ。
フットワークは車高が高いだけ、フィエスタのように俊敏に向きを変えるセッティングではないものの、かったるさとは無縁。たっぷりしたストロークでゆったり走るのが向いているのかなと思いきや、飛ばしても粘る足でロール量は大きいものの恐さを感じさせないのも長所。
走りに関しては、予想どおりレベルの高さを見せつけてくれたが、試乗車の個体差かどうか不明ではあるが、風切り音やフロアからのロードノイズはやや大きめに感じた。
それでも乗り心地の良さでいえば、ホンダ・ヴェゼルよりは一枚上手。ルノー・キャプチャーとプジョー2008というフランス勢よりもほんのわずかに硬質な乗り味で、これは各人の好みでとらえ方は違うだろう。
ボディサイズを考えると室内も広め
室内は、運転席に収まるとペダル配置を含めて大きな問題点は感知されず、前席は大きなシートサイズで、とくに背もたれの前後長は長くて不足はない。後席は前席同様に硬めの座り心地で、フロアから座面までの高さも十分に確保されている。前席よりも一段と高いヒップポジションだから見晴らしもいいし、身長171cmのレポーターが前後席に座ると後席の膝前には20cm強、頭上には15cmほどの余裕が残る。身長180cmくらいの人が4人座っても無理なく移動できる空間といえるだろう。
横開き式リヤゲートを開けると、フラットで奥行きのある荷室が出現する。後席の背もたれを前倒しして拡大できるほか、さらに座面を引き上げて背もたれを前倒しするダブルフォールディングによりさらに広くすることもできる。
背面タイヤを採用する恩恵で、スペアタイヤが不要なぶん荷室容量を拡大できるし、少しだけリヤゲートを開けて小さめの荷物も取り出せる。閉める際も上開き式のように腕を伸ばす必要がないから女性でも楽に開閉できる。背面タイヤを備える割にリヤゲートは重く感じなかったのも朗報だろう。
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