日本とイギリスの闇社会に斬りこんだ作品
『闇の子供たち』(2008年度作品)
タイを舞台に新聞記者が臓器売買や幼児売春の真実に踏み込んでいく梁石日の同名小説を坂本順治監督が映画化。
大人たちが力のない子供を餌食にしていく姿は醜い! それを暴いて一人でも多くの子供たちを救ってほしいと思いつつ、この映画に隠された秘密が最後に明かされるとき、驚き、ズシーンと重い気持ちを抱えることに……。でも、それこそ闇社会を描いた映画の重みなのかもしれない。
人間は一度足を踏み外すとどこまでも落ちてしまうものなのか……と考えさせられる力作です。
監督:阪本順治
出演:江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、プラパドン・スワンバーン、プライマー・ラッチャタ、豊原功補、鈴木砂羽、塩見三省、佐藤浩市ほか
『堕天使のパスポート』(2002年度作品)
ロンドンのホテルを舞台に、そこで働く違法滞在の移民たちが闇の取引きに振り回されつつも、自由を手に入れようと奔走する社会派サスペンス。
普通のホテルでこんなことが起こるのかと仰天しつつ、違法滞在とはいえ真面目に働く移民たちが何とか窮地を乗り切ろうとする姿から目が離せなくなります。社会派とはいえ、サスペンス色が強く後半はドキドキの展開。弱者が自ら人生を切り開こうと行動する姿は応援もしたくなるし、感動もするけれど、ホテルの裏で起こることはあまりにもエグくて、ありえない感もぬぐいきれないというのが正直な感想。
しかし、さすがフリアーズ監督、物語の語り口や話の運び、サスペンス展開もソツなく、最後まで飽きさせません。
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:オドレイ・トトゥ、キウェテル・イジョフォー、セルジ・ロペス、ソフィー・オコネドー、ベネディクト・ウォン、ズラッコ・ブリッチ、デイモン・ヤンガーほか
※闇社会を描いた映画にはほかにジョニー・デップ主演の『ブロウ』、ホアキン・フェニックス主演の『アンダーカバー』などもあり。刺激的でブラックな世界をのぞき見したいという人には闇社会を描いた映画はオススメです。社会派作品も多いので見終わったあと、いろいろ語り合いたくなるかもしれませんね。